研究課題/領域番号 |
16K15947
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
秦 久美子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (80612457)
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研究分担者 |
大平 光子 広島大学, 医歯薬保健学研究科(保), 教授 (90249607)
中塚 幹也 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (40273990)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 不育症夫婦 / ピアサポート / 医療者の支援 / 社会的支援 |
研究実績の概要 |
不育症夫婦の夫へ流死産時の経験と思いについては14名のインタビューの逐語録の分析結果を踏まえて、今年度は「流死産回数による違い」、「妻に対する思いと行動」、「両親、職場、医療、社会への支援のニーズ」に視点を絞り各々学会発表を行った。医療者の支援・社会的支援への思いについては、現在論文投稿中である。「不育症の夫の医療者の支援・社会的支援への思い」を広く明らかにすることにより、医療者をはじめとする不育症夫婦の周囲の人達に、支援体制の構築に向けて具体的な方法を提示できる。この夫の思いの中には、【患者・家族の心情に配慮したケアを希望】【胎児への尊厳を保った対応を希望】【医療者の誠実な役割遂行を希望】【妊娠継続への尽力の切望】【不育症治療の拡充を希望】【夫も支援の対象者としての位置づけを希望】【ピアサポートのネットワークの構築を希望】【夫婦の問題であり本当にわからない人は支えにならない】が含まれていることが明らかになった。不育症夫婦の夫は医療者の支援・社会的支援を求めていた。同時に、相談やピアサポートに対しネガティブな感情を語った夫も存在した。これは、不育症を本当に理解した上での支援へのニーズの裏返しとも考えられ、今後の支援体制を検討するために有用な知見である。 不育症夫婦の異なる時期の妻へのインタビューを実施した。流死産後は16名、妊娠中6名、育児期は5名の対象者に実施した。現在、これらのデータを分析中である。各時期における妻の抱く夫への思いと、今までに明らかになった夫の妻への思いの分析を踏まえて、両者の思いを関連づけてパートナーシップ構築への看護援助モデルの開発の準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
不育症夫婦の夫の思いと経験、ニーズは明らかにすることができた。しかし、妻のデータの収集は実施できたが、分析の進捗状況が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
妻のデータ分析を早急に進めていく。その上で不育症の妻の流死産後、妊娠中、育児期の各時期のなかでも研究が進んでいない育児期の妻の思いをまず最初に明らかにしていく予定である。妻の抱く夫への思いと、本研究で明らかになった夫の妻への思いと照らし合わせて、両者の共通した思い、異なる思いを踏まえて、不育症夫婦のパートナーシップ構築への看護援助モデルの開発を進める。 併せて、英国の赤ちゃんを亡くした両親の自助グループのガイドラインを参考に取り入れながら、我が国における継続的な支援の在り方を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
妻のインタビューの逐語録のデータ分析の検討を県外の共同研究者と行うための交通費に使用予定。 また、論文発表に向けて英語翻訳が必要であり、その費用とする。 併せて、英国の赤ちゃんを亡くした両親の自助グループの活動についての調査費用の予定である。
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