2018年度までに、精神疾患を有する人およそ10名を対象にWRAPクラスの運営に関するFeasibilityの検証とクラス運営における有益な言語表現に関する参加者へのインタビュー調査などによって整理した。その結果、たとえば妄想については「誤った確信」など、これまでは医療者によって整理されてきた表現に対する患者にとって受け入れやすい用語が代替案として明確になった。また、WRAPクラスに参加した10名の1年後再発率は0%、2年後再発率も10%であった。 これを踏まえ、精神疾患を有する人の精神健康の保持増進に活用するためのWRAP活用アプリケーションを開発した。このアプリケーションは、一般的なWRAPクラスではWRAPの作成(心の元気に役立つ行動を明確にし、他者の方法と交換することで増やすこと)を行うことを踏まえて、その人のWRAP(心の元気の保持増進に役立つこと)を思い出して使いこなせるようにするものである。アプリケーションは、1)心の元気度を聞く(アセスメント)、2)プランを推薦し選択を促進する(プランの選択)、3)翌日以降に選択したプランの有効性を聞く(プランの評価)という3つのフェイズで構成した。アプリケーションは精神疾患を有する人8人に対して試行してもらい、CSQ(Client Satisfaction Questionaire)などによって満足度を評価した。満足度は概して高いこと、スマートフォンなどからのアクセスによって継続的に使用する可能性が十分にあることが判明した。 なお、成果の一部は国際学会において発表した。
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