本研究では、東日本大震災による福島原発事故のために避難を余儀なくされた住民に、被災から現在に至るまでの生活の変化、これまでに経験した葛藤やジレンマ、住み慣れた土地への気持ち、今後の見通しについて語ってもらい、放射線災害が住民の”生きる力”に及ぼす影響について探求した。仮設住宅の管理人と居住者、避難指示解除後に帰村した住民の語りから、放射能汚染があっても「故郷は自分の居場所」であり、「自分の故郷は自分で守る」という思いが支えになっていることが明らかになった。また、住民は、災害からの復興を前向きに捉え、放射能汚染を克服することを学び、共存していく道を模索していた。
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