研究課題/領域番号 |
16K15965
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研究機関 | 名桜大学 |
研究代表者 |
平上 久美子 名桜大学, 健康科学部, 上級准教授 (00550352)
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研究分担者 |
鈴木 啓子 名桜大学, 健康科学部, 教授 (60224573)
大城 凌子 名桜大学, 健康科学部, 上級准教授 (80461672)
鬼頭 和子 名桜大学, 健康科学部, 准教授 (90714759)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イマドキ大学生 / 看護大学生 / ピアサポート / 語り場 / メンタルヘルス |
研究実績の概要 |
研究者らが支援する看護大学生(以下、学生)主体のピア・サポートとしてのメンタルヘルス支援活動“語れない想いのBar(場)”プロジェクト(以下、語り場)を通して、イマドキ学生の問題特性とともに、活動の意味や効果等を明らかにすることが目的である。H28年度の取り組みと成果は以下の通りである。 1.文献調査: 1900年代初めから欧米で始まったピア・サポート活動は一定の効果が認められている。国内では1900年代後半から小中学校を中心に取り組まれはじめたが、大学における活動は学習支援が中心であり、国内外ともに学生によるメンタルヘルスにおける同活動の報告は殆どない。しかし、現代の大学生のメンタルヘルスにピアが重要であることは指摘されている。 2.活動:語り場はほぼ毎月開催し、深刻な内容でも教職員や保健センターに相談していないことや、場が安心や満足感を提供し、孤独の軽減やお互いの変化につながっていること等が聞かれる。さらに大学保健センターと連携し、多様な性に焦点化した語り場も立ち上がり、H29年3月の県外大学での開催も併せて、学生は多様な性に関して表出し語り合える場を切望していることもわかった。 3.研究その他:協同教育の研修会や学会、看護系学会、GID学会などに参加し、大学教育におけるピア活動を探究し情報収集を行ったが、大学における協同に関しては取り組まれているものの、メンタルヘルスに対するピア活動は報告がない。イマドキ学生に関する研究(平上ほか2016)から、学生は孤独でつらい学業継続の危機においても自分からは言い出せず、表面化することを恐れ、相談先に影響される状況や学生のレジリエンスが示唆された。また大学職員は、複雑で困難なケースに昼夜問わず個別対応をする学生支援は、職員の生活に影響を及ぼすほどの負担があることなども見えてきた。本活動の意義や有効性の実証を急がれることを再確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度本研究の基盤にもなる、大学教育における協同教育について、情報収集や研究等に取り組んだため、予定していた面接調査ははじめたものの、予定通りの調査数とデータ分析が進まず、遅れているといえる。次年度に継続実施するともに、分析にも取り組む。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の結果に基づき、引き続き看護大学生の学業生活に影響を及ぼす問題特性とその支援に関する国内外の文献資料を整理しレビューとしてまとめる。また、H28年度末からはじめている語り場の参加者への面接調査について、様々な協力者に協力を得て行っていく。語り場は学生とともに継続して開催し、多様な性と生を考える3丁目活動は保健センターや他大学、他機関とも連携し、学生環境の改善や喫緊の課題の解決なども留意して実施していく予定である。同活動も倫理的に研究調査を進められるよう、本学の倫理審査委員会に諮る。研究全体を通して、協同教育や臨床哲学、看護研究などの研鑽のための活動も継続して行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
ピアサポート活動に関する情報収集、協同教育に関する研究指導や関連学会参加等で旅費を活用したが、予算に若干、余裕が出た。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品等で使用する予定である。
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