研究課題/領域番号 |
16K15965
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研究機関 | 名桜大学 |
研究代表者 |
平上 久美子 名桜大学, 人間健康学部看護学科, 上級准教授 (00550352)
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研究分担者 |
鈴木 啓子 名桜大学, 健康科学部, 教授 (60224573)
大城 凌子 名桜大学, 健康科学部, 教授 (80461672)
鬼頭 和子 名桜大学, 健康科学部, 准教授 (90714759)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 看護大学生 / イマドキ 大学生 / ピアサポート / メンタルヘルス支援 / 語り場 / 居場所 / 困難 |
研究実績の概要 |
大学生等の障がいのある学生の修学支援として、現状把握と何らかの個別対応の支援が進みつつある状況が報告されている一方で、相談にはいたらずも学内に居場所がない学生、精神疾患や不登校など、悩めない学生や悩みを抱えながら相談しない現代大学生やそれに対する対処が課題に挙げられている。まじめで従順,学業重視などの傾向により,周囲からは気づきにくいことも“イマドキ”大学生の特徴ともいえる。この状況は日本に限らず欧米などでも大学生の2-3割がうつ病であることが報告されている。 看護系大学の増設に伴い学生数は増える反面,将来を迷うドロップアウトの増加や,広範囲の学修や臨地実習での高いストレスなどが指摘され,看護系大学生に特徴的な問題特性がある。研究者らは,“イマドキ”看護大学生(以下、学生とする)、の特徴として,自ら乗り越えようとするレジリエンスがある反面,孤独でつらく,学業継続の危機にさらされても自ら認識できず,また表面化することを恐れて言い出せず,自分で何とかしようとすることなどが明らかになった。大学環境のなかにサポート資源となりうる要素が点在することや,必要なときに気軽に安心して相談できる場が,身近なところに多数存在することが有効であることなどが考察され、教職員は親密圏の中で孤立化しやすい学生の内面的な特性を理解し,協同学習が有効なことや丁寧に向き合い接点を模索し続ける必要性も示唆された。 先行研究では悩みを親や友人に話せず悩んでいる学生や、家族機能が不十分な環境にある学生が増加することなどが指摘されており、それでもできる事なら誰かに話したい思いを持っている学生自身が、安心して語ることの意味や、多様な人との対話を通して自他のことを探究できること、このような場が身近にあることが学業生活、さらには人生に影響することが示唆された。このような場は学生自身がつくることができる可能性も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度末から平成29年度にかけて主研究者が体調を崩す事が続き、研究活動・サポート活動に影響があり、研究が全体に遅れがちである。しかし、当該活動は柔軟に、かつ、発展的に継続しており、広く増えている学内外の参加者や、保健センターや学生課などの学内のサポートも強力になりつつあるため、その成果を明らかにする意義は更に高まっていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度はこれまでの結果に基づき、国内外の文献資料を整理しつつ、語り場の参加者への面接調査について、分析を進め、場の意味を明らかにするとともに、対人援助職を目指す一方で自らも問題を抱える現代の学生の問題特性を踏まえた効果的支援を検討する。また、調査結果とこれまでの記録を併せて語り場活動のプログラム化に取り組む。 語り場は学生を中心に保健センターや学生課、他大学、他機関とも連携し、学生環境の改善や喫緊の課題の解決なども視野に入れて継続的に活動をしていく。研究全体を通して、協同教育や臨床哲学、看護研究などの研鑽のための活動も継続して行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度予算額に対して、ほぼ予定通りの使用であったが、若干の余剰金があったため、次年度の繰り越しとした。 次年度請求助成金と合わせた金額はほぼ変わりがないため、使用計画に変更はない。
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