1.研究目的:本研究では、学童期の発達障害の特性を持つ子どもとその保護者、定型発達の子どもとその保護者に必要な支援を検討するために、①未成年の子どもをもつ保護者が発達障害の特性をどのように理解しているのか、②発達障害の特性を持つ子どもの保護者とそれ以外の保護者では、学童期に起こりうる困難な事象への対処に違いがあるのか、を明らかにすることを目的とした。 2.研究方法:目的①、②に対しそれぞれ無記名自己記入式質問紙調査を実施した。 3.研究成果:①発達障害の特性のうち集団行動や対人関係を苦手とする特性は、多くの保護者が理解していたが、感覚のかたよりは他の特性より理解度が低かった。感覚のかたよりは、特に個別性が強く他者からは理解されにくいため、対人関係構築や集団生活に影響を与えやすい。学校生活で発達障害の特性を持つ子どもの影響はなかったとした保護者が多かった一方で、叩かれた・授業に支障があったとした保護者もいた。多くの保護者が発達障害の特性を理解したいと考えていたことから、同級生や保護者に理解を求めることが可能な事例があると考える。そのためには必要な要件を検討していく必要がある。②学童期に起こりうる困難な事象への保護者の対処は、発達障害の特性を持つ子どもの保護者、それ以外の保護者間で違いは認められず、相談先は担任教員が多かった。発達障害の特性を持つ子どもの保護者の中には、担任以外の教員など複数人に相談していた保護者がいた。学校は、保護者が安心して相談でき、子どもにとって最善の対応ができるよう教員間の連携など体制を整える必要がある。また、発達障害の子どもの多くは、放課後等デイサービスを利用しており、放課後等デイサービスの職員に様々な相談をしている保護者がいた。放課後等デイサービスは発達障害児の療育だけではなく、保護者も含めた包括的な支援を担える場となる可能性があることが示唆された。
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