≪目的≫皮膚アセスメント指標を検討するために、性別や年齢による皮膚生理機能への影響およびドライスキンの程度と皮膚所見(画像)との関連性を検討した。 ≪方法≫両側下腿を露出した状態でベッド上に臥床してもらい、両側下腿前面の皮膚の皮膚生理機能(角層水分量、経皮蒸散水分量、油分、皮膚pH)を測定した。加えて、皮膚画像はマイクロスコープで撮影したのち所見として皮溝や皮丘を算出して数値化した。 ≪結果≫研究参加者は、20・40・60歳代の男女29名であった。角層水分量(a.u)は、男性R32.4±8.6 L29.8±10.0、女性R41.11±10.0 L40.61±9.6であった。両下肢で男性より女性の方が有意に高かった(右下肢p=0.014、左下肢p=0.008)。経皮蒸散水分量(g/ hm2)は、男性R8.8±6.6 L9.7±4.1、女性R9.5±11.8 L9.4±9.4であった。全ての指標において年齢差と交互作用は認めなかった。皮溝の幅(pixcel)は、男性R6.58±0.23 L6.52±0.13、女性R6.44±0.10 L6.43±0.55であった。両下肢で性別や年齢による差は認めなかった。皮丘の数(個/26.7㎜2)は、右下肢で男性より女性の方が有意に高かった(p=0.042)。年齢差と交互作用は認めなかった。角層水分量を低値群[基準値外]9名と高値群[基準値内] 20名に分けて比較分析したところ、皮丘の面積は、左下肢で低値群が高値であった(p= .049)。 ≪考察≫両下肢の皮膚の乾燥傾向は、女性より男性にみられた。また、皮膚画像から乾燥傾向と皮膚所見に関係がある可能性が示唆された。本研究の被験者の皮膚状態は概ね良好であったことが年齢による影響を認めなかったと考える。
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