研究課題/領域番号 |
16K15978
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研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
乾 富士男 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (80469551)
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研究分担者 |
冨澤 理恵 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師(常勤) (20584551)
本多 智佳 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (40625498)
加藤 憲司 神戸市看護大学, 看護学部, 准教授 (70458404)
中谷 香江 畿央大学, 健康科学部, 助手 (20524979)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | うつ / 閉じこもり / 双生児研究 |
研究実績の概要 |
大阪大学大学院医学系研究科附属ツインレジストリ(登録簿)に登録されている研究協力者の成人双生児を対象に,2008年より継続して実施してきた郵送質問紙調査の5回目を,大阪大学の倫理委員会の承認を受け実施した。本研究のための調査項目としては,基本属性情報,うつ症状,自己効力感,食習慣,生活習慣,働き方に関する質問,閉じこもりに関する質問,疲労尺度などを盛り込んだ。回収率は60%程度と比較的高いため,未回答者への追加調査等は行っていない。 予備的な解析の結果,閉じこもりとの関連が考えられるうつ症状と自己効力感の関連について,遺伝要因および非共有環境要因の相関が認められた。パーソナリティーとうつの遺伝的相関は先行研究においても指摘されており,今回の結果はそれと一致するものであるが,日本人における自己効力感とうつの関連を指摘したことは初めてである。 本研究の主題である閉じこもりに関連する環境要因についての検討は,現在のところまだ検討中である。大阪大学ツインレジストリに登録されている研究協力者は,年齢,学歴,居住地(すなわち都市部,地方などの違い),職業,生活習慣などが非常に多岐にわたるため,特定の環境要因を検討するためにはより多くのサンプルサイズが必要であることが分かった。 そこで,フィンランドやハンガリーとの国際比較に向けて,鋭敏に検出できる環境要因に絞って解析を進めるべく検討をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2016年度の予定であった国内郵送質問紙調査を実施し,60%程度の回収率が得られたのでこのように評価した。しかし,統計学的な検出力においても,また諸外国で行われている双生児研究と比較しても,十分なサンプルサイズとはいえない。しかし,双生児の研究協力者を募集するためには莫大な費用と労力が必要なため,本研究の範囲を大きく上回るものである。
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今後の研究の推進方策 |
ヘルシンキ大学社会学部と共同で,うつや閉じこもり等の高齢者に特徴的な精神症状について,社会環境要因と遺伝要因の関連,遺伝ー環境交互作用の影響を分析する。また,サンプルサイズの問題や国際比較に必要な手法などを具体的に検討する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度実施した郵送質問紙調査は,他の研究で実施する調査の中に項目を追加する形で行うことができたため,当初見込んでいた郵送費用などを使用しなくてよくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
国際比較のために海外の共同研究者との打ち合わせが予定より多くなる見込みであるので,その旅費として使用する。
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