独居高齢者は、救急搬送が必要な状態になっても、緊急時通報システム(以下、通報システム)を使用していない現状がある。この問題に対して申請者は、平成26年度より質的研究を行い、介入すべき問題点の概要を明らかにしている。自治体は、孤独死防止対策の中心的役割を担い、高齢者福祉施策として通報システム導入の推進を図っているが、自治体こそ、通報システムが設置されていても、独居高齢者は助けを呼べない・呼ばない現状にある実態について問題を把握し、高齢者の自助力を支援する施策について具体的に検討する必要がある。本研究は、緊急時に独居高齢者が自助できる自治体モデルを構築することを目的としている。 都内23区のうち、独居高齢者の多い順に6つの区へ研究協力を依頼し、そのうち承諾の得られた3つの区において自記式質問用紙を用いて調査を行った。調査内容は、緊急時に独居高齢者が助けを呼べない・呼ばない現状に関するもので、緊急通報システムが使いづらいなどの物理的要因、救急車を呼ぶのを躊躇するなどの心理的要因であり、これまでの質的研究から発展させた調査票を用いた。 結果、502名より回答を得た(回収率50%)。各区毎に、緊急通報システムを利用している独居高齢者の特性や、通報システムを使用しない・使用できない特性について分析を行い、概要を各区へ報告した。
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