研究課題/領域番号 |
16K15987
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
表 志津子 金沢大学, 保健学系, 教授 (10320904)
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研究分担者 |
岡本 理恵 金沢大学, 保健学系, 准教授 (50303285)
市森 明恵 金沢大学, 保健学系, 助教 (80507369)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 若年性認知症 / 企業 / 就労継続 / 就労支援 |
研究実績の概要 |
平成30年度は平成29年度に引き続き、若年性認知症を有する従業員への対応経験のある事業所への聞き取り調査を実施した。研究参加の募集は機縁法を用い、面接は施設の同意を得て人事担当または産業保健スタッフに行った。事業所の指定された場所で行い、時間は60-90分であった。半構成的面接法を用い、若年性認知症と診断された従業員に対して、症状に気づいてからの職場の対応や課題について尋ねた。面接結果は逐語録とし質的記述的に分析した。逐語録から、意味内容の類似性、差異性を検討し、サブカテゴリー、カテゴリーを抽出した。4県7事業所から聞き取りを行い、事業所の経験として7つのカテゴリーが抽出された。事業所の業種は製造業、保健衛生業、運輸交通業、人材派遣業などであった。抽出された経験は、<関わり方に戸惑う>、<受診勧奨や診断時の配慮>、<病名を伏せていることによる同僚の困惑>、<安心と安全を考慮した体制の構築>、<勤務が継続できるよう工夫>、<本人・家族との合意形成>、<日常生活の中での本人支援>であった。事業所では仕事内容の調整や、安心して働くための体制が整備されていた。一方で、診断名が伏せられた状態での同僚の困惑があり、社外と社内のシステムを利用した支援体制作りの必要性が示唆された。本結果は現在分析過程にあり、途中経過は第77回日本公衆衛生学会総会で発表した。また平成28年度、29年度に行った事業所調査結果については学術誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた調査結果を投稿し、公表する準備ができた。聞き取り調査は、企業の協力がえられにくい状況であるが8事業所からの聞き取りができ、学会発表準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
若年性認知症を有する従業員への対応経験について、学会発表及び論文投稿準備を進める。また、研究結果を基にした若年性認知症の従業員への支援に関するパンフレットを作成し、公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
聞き取り調査の対象の獲得に時間を要し、事例ごとのまとめが実施途中である。次年度はわかりやすく、利用しやすい、若年性認知症の従業員への支援に関するパンフレットを作成し、事業所に公表する予定である。
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