研究課題/領域番号 |
16K15989
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
本多 智佳 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (40625498)
|
研究分担者 |
冨澤 理恵 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師(常勤) (20584551)
乾 富士男 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (80469551)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 双生児研究 / 公衆衛生看護 |
研究実績の概要 |
健康長寿社会の構築において、平均寿命そのものよりも健康寿命の延伸が不可欠であり、両者の差を短縮するために治療よりも疾病や介護の予防といった視点が重要となる。これら疾病や要介護状態の予防において看護が果たす役割は大きい。 全ての疾病や健康状態は遺伝と環境の影響を受けているが、予防では特に環境因子へのアプローチが重要である。遺伝要因を制御し、特定の環境因子の影響を明確に出来る有用な手法として双生児研究法がある。また、日本においては特に女性の骨粗鬆症有病率が高いことが指摘されており、本研究は日本と海外の高齢者を含む成人双生児研究の比較を通じ、要介護状態の要因として重要である骨粗鬆症や関連する健康状態に着目し、その予防に有用な環境因子に関する知見を得ることを目的としている。 本研究では日本や海外の成人双生児における骨密度及び関連する因子との関連解析を行っている。サンプル数が少なく、測定方法が異なるものの、単変量解析において閉経後の日本人成人女性双生児集団を元に算出した骨密度の遺伝寄与率は海外に比べて高い傾向が示唆された。今後は 遺伝と環境の相互作用を含めた解析を行っていく予定である。また、国内外の共同研究者が所有する骨密度に関連したデータを比較において、その手法が骨密度評価が超音波を用いた測定やX線を用いたDXAを行うなど多岐にわたっている。必ずしも臨床や健康診断などの場面でゴールドスタンダードであるDXAを実施できる環境があるとも限らないため、簡便に入手可能な検査方法から骨密度を推測できることの重要性が改めて示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内外における双生児を対象とした骨密度評価を実施、これらのデータを元に遺伝寄与率の推定を行った。その結果は日本双生児研究学会、国際臨床医学会などにおいて学会発表を行うなどし、概ね順調に進展している。 国際比較を進める中で、より比較に適した国内外で統一された指標での評価を加えるなど、本研究をさらに発展させる可能性が出てきたことから、追加調査、解析を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに収集したものと同じ基準でデータ収集を継続し、サンプル数を増やし、解析を行っていくとともに、今後は国際的に広く使われている指標を用いた追加のデータ収集を行うことにより、現在すでに収集済みのデータのより高度な解析を行うことを予定している。 双生児研究は研究参加者を見つけ、二人同時に研究に参加していただく必要があり、一般人に比べると研究参加者のリクルートが非常に困難であるという課題がある。しかしながら、非常に雑多であるヒト集団において、遺伝背景を統制して研究できる優位性は他に代え難く、継続して双生児研究参加者を募っていくことが非常に重要である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の事業計画に則り、順調にデータ収集および解析を進めることができている。しかしながら、分担研究者、連携研究者と解析を進めていく中で、当該年度に実施予定だった調査を次年度に実施して解析を行うことで、より多くの対象者の調査参加が見込まれ、また高度かつ発展性のある研究成果につながることが確認できた。 したがって、次年度に郵送や対面での調査実施を延期して、より高度な解析を進める計画とした。
|