研究課題/領域番号 |
16K15992
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
丸谷 美紀 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50442075)
|
研究分担者 |
森 隆子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (50507126)
稻留 直子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (60709541)
兒玉 慎平 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (80363612)
米増 直美 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (80326115)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 災害時保健活動 / 文化看護 / 離島 |
研究実績の概要 |
九州南部の4つの離島における災害時保健活動の実態と住民の対応を調査した。 急性期亜急性期の地域の文化を含む保健師の直接支援は<安堵感を優先した体制><紐帯の保持><清潔習慣の受容と助言>等だった。具体的には<清潔習慣の受容と助言>とは<タオルを共有しないことは他人行儀ではなく効用を説明する>だった。地域の文化を含む島民の自助共助は<移動手段を駆使した救出><開放的な関係を活用した安否確認><保管食材を活用した炊き出し>等が得られた。具体的には<移動手段を駆使した救出>とは<瀬渡し船を利用し川から園児を救出する>だった。 慢性期の保健師の直接支援は<紐帯からの解放><住まい方の保持><購買習慣への配慮><飲酒習慣の受容と助言>等だった。具体的には<紐帯からの解放>とは<島民同士では吐けない弱音を受容する>だった。島民の自助共助は<伝達方法を駆使した情報共有><移動手段を活用した生活必需品の確保>等だった。具体的には<伝達方法を駆使した情報共有>とは<集落の区報を再開し一時帰島時の様子を共有する>だった。 復旧復興期の保健師の直接支援は<行政手続きへの抵抗緩和><時間感覚を先読みした健康管理><紐帯の再構築>等だった。具体的には<行政手続きへの抵抗緩和>とは<支所以外の窓口での町営住宅申し込みに同行する>だった。島民の自助共助は<自然の在り方の受容><紐帯の代行依頼>等だった。具体的には<自然の在り方の受容>とは<前回の噴火後に山が回復していった様子を若い人に伝える>だった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査はH28年10月からH29年2月に実施し、調査対象地域は、自然災害が多発する九州南部で最近数年以内に自然災害が発生した4島とした。調査対象者は自然災害時に島民を直接支援した市町村保健師8名で、調査内容は支援の経過、及び考慮した地域の文化を聞き取った。次に島民6名に被災の経過、及び保健師の支援を聞き取った。分析は質的記述的方法を用い、聞き取り調査の逐語録から、地域の文化を含む保健師の直接支援、及び地域の文化を含む島民の自助共助に関する記述を抽出し、各々災害周期毎に分類整理した。それらの結果を、H29年8月までに有識者を含めて検討し、郵送調査に移る予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
H28年度の調査結果を学術集会等で公表し、意見を交わした後、学識経験者等と内容を再検討する。この御、「離島の文化に即した災害時保健師活動案」として、項目を整理し、全国の離島を有する市町村に郵送調査を行う予定である。また、各地離島での災害保健活動の実態や、災害看護の学識経験者に助言を頂く予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品費としてインクトナーを計上していたが、次年度まで移用できる残量があった。また、事務補助を雇用する予定だったが、郵送作業等を次年度に行うため、次年度に繰り越した。
|
次年度使用額の使用計画 |
インク残量が少なく、トナー購入に利用する予定である。また、郵送調査を行うため、人件費が必要になる。
|