1.修士課程保健師教育の効果と新人期から求められる能力に関する実態調査:看護師教育に上乗せした修士課程保健師教育における高度実践者養成の可能性を明示するため、修士課程の修了生および大学院生に対してインタビュー調査を行い、修士課程の保健師教育の効果と新人期から求められる能力を分析した。実習によって身についたと感じる能力(教育効果)として、①報告・連絡・調整力、②プレゼンテーション能力、③成果をまとめる必要性の理解、④システム化の理解等であった。新人期に活用するためにさらに強化する必要があると感じる能力として、①危機管理能力、②計画立案能力、③事業計画と予算の連動、④疫学・統計の強化等であった。 2.修士課程保健師教育と公衆衛生大学院(MPH)とのかかわり:同一大学の中でMPHの科目受講や教員とのかかわりを行っている大学において、大学院生にインタビューを行った。大学院生は、MPH科目を受講することで公衆衛生分野の中での保健師に対する役割期待を感じていた。また、他職種と共通理解ができるような説明力が必要であることを学んでいた。講義内容では政策や保健福祉医療計画の構造、経済的効果と評価について学ぶことが役に立つと述べた。 MPHとのかかわりは、大学院生は「保健師とは何か」を考える機会となっており、保健師としてのアイデンティティーを多角的に育む可能性があると考えられた。 3.修士課程保健師教育を実施している大学院同士の交流会の開催:日本地域看護学会第21回学術集会および日本公衆衛生看護学会第7回学術集会において修士課程保健師の集まりを開催した。グループワークの中で、参加者は同じような悩みに共感しており、それぞれの対応策を知ることができた。大学院生と交流を深め、同じ目標に向かっている他の仲間がいることを実感し、さらに共に切磋琢磨しながら目標達成のために頑張ろうという機会となった。
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