研究課題/領域番号 |
16K16005
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
河瀬 康志 東京工業大学, 工学院, 助教 (90734559)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | オンライン最適化 / オンラインアルゴリズム / 競合比解析 / 広告割当問題 / 安定マッチング |
研究実績の概要 |
本課題ではオンラインアルゴリズムの性能の理論保証について最悪解析と平均解析の両面から研究を進めている.得られた主な研究成果は以下の通りである. (i) ビデオ広告の割当に関するオンラインアルゴリズムの設計について最悪解析と平均解析の両面から取り組んだ.ビデオ広告割当問題は,Youtubeなどの動画配信サイトにおいて,どの広告をユーザーに割り当て,広告主にいくら請求するかを決めるオンライン問題である.ビデオ広告割当は,割当可能な時間枠というナップサック制約をもつオンライン最適化問題であり,通常の広告割当問題に対するオンラインアルゴリズムをそのまま適応することはできない.そこで,従来の枠組みを,時間枠制約がある場合に適用できるように拡張を行った.また,この拡張により,無羨望性を満たすような割当を求めるアルゴリズムの設計もおこなった.さらに,数値実験により提案アルゴリズムの有効性を確認した.本研究の成果は人工知能の難関国際会議IJCAIにおいて採録されている. (ii) 新たな展開として,予算制約(ナップサック制約)をもつ安定マッチング問題に対するアルゴリズムの設計を行った.安定マッチング問題はオンライン問題とは独立に研究が行われている分野であるが,この研究で初めて,除去可能オンラインナップサック問題に対するオンラインアルゴリズムの技法の応用を行った.この研究成果も国際会議IJCAIにおいて採録されている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当面の課題であったオンラインナップサック問題について,ビデオ広告割当問題を通じて,最悪解析による評価と数値実験による実用面の評価の両方において有用なアルゴリズムの設計ができた.また,安定マッチング問題に対しオンラインアルゴリズムのアイデアが応用できることを発見することができた.以上より,おおむね順調に研究が進んでいると言える.
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今後の研究の推進方策 |
まず,平均時性能の解析についての理解を深める.「平均時」の定義は様々なものを考えることができるので,これを整理しまとめを行う.その祭,オンライン最適化の枠組みを抽象化したリクエストアンサーゲームを用いてモデル化を行うことを試みる. また,新たな方針として見つかった安定マッチングに対するオンラインアルゴリズムの技法の応用に関しても引き続き研究を進める. 得られた成果は国際会議,学術雑誌などにおいて発表する.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた国際会議に採録されず,発表時期が次年度にずれ込んでしまったことが原因である.
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次年度使用額の使用計画 |
海外での研究発表,情報収集のための旅費や学会参加費などとして主に使用する.また,研究を円滑に遂行するためにPC周辺機器,書籍などの購入を計画している.
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