研究課題/領域番号 |
16K16005
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
河瀬 康志 東京工業大学, 工学院, 助教 (90734559)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | オンライン最適化 / オンラインアルゴリズム / 競合比解析 / 安定マッチング / 劣モジュラ |
研究実績の概要 |
オンライン最適化は,機械学習や人工知能をはじめとする広い分野において用いられており,基盤技術としての役割を担っている.本課題では,オンライン最適化問題に対するアルゴリズム(オンラインアルゴリズム)の性能を理論保証するための基盤技術について,研究を進めている.特に,ナップサック問題や,割当問題,劣モジュラ最大化などの組合せ最適化に関するオンライン最適化を中心として研究を行っている.当該年度に得られた,主な研究成果は以下の通りである. 1. 安定マッチング問題における受け入れ保留方式を動的なメカニズムととらえることにより得られる均衡(部分ゲーム完全均衡)についてその性質を明らかにした.この成果はMATCH-UP2019に採択された. 2. 逐次的に企業からのオファーがくる状況において均衡計算の計算複雑度を明らかにした.この成果はEC2018に採択された. 3. 目的関数が未知であるようなロバスト最適化問題に対し,汎用的なフレームワークを2種類考案した.また,それを用いて,ロバスト劣モジュラ最大化問題などに対して近似アルゴリズムを提案した.提案したフレームワークの1つは乗算型重み更新法と呼ばれるオンライン最適化の技法を元にしたものである.この成果はAAAI2019に採択された. 4. 劣モジュラ関数の一般化であるXOS関数の最大化に対して,関数には値オラクルでしかアクセスできない状況を考え,近似アルゴリズムを提案し,その最適性を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は計画になかったが,動的な状況でのゲーム(展開型ゲーム)に対する均衡解析をオンライン最適化で培った技術の応用として行った. 2人完全情報展開型ゲームに対する(部分ゲーム完全)均衡は,最適なオンラインアルゴリズムと最悪の入力のペアに対応している. この研究により,経済学と計算機科学の境界領域におけるトップ会議であるECに採択されるなど,国際的に高い評価も得た. そのほかにも人工知能分野のトップ会議であるAAAIに採択されるなどしており,本研究課題はおおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
引き続きオンラインアルゴリズムの最悪時性能や平均時性能に対する理論保証の研究を進める. また,展開型ゲームに対する均衡の性質の分析や均衡計算の計算複雑度についても解析を行う. 得られた成果は国際会議,学術雑誌などにおいて発表する.
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次年度使用額が生じた理由 |
私的都合により出張が難しかったため,次年度使用額が生じてしまった. 使用額は,論文の英文校正や国内外での発表のための旅費として計上する. また,研究を円滑に遂行するためにPC周辺機器・書籍等の購入を計画している.
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