研究課題/領域番号 |
16K16006
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
齋藤 寿樹 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (00590390)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 省領域アルゴリズム / 幾何データ / データ構造 |
研究実績の概要 |
近年,ビッグデータを処理するための効率的なアルゴリズムが求められているが,ビッグデータのその巨大さゆえに,すべてのデータを計算機上に格納することはできない.本研究では,センサーネットワークや時系列データなど,様々な実データを持つ幾何データに対する効率的な省領域アルゴリズムの開発を目的としている.
研究代表者はこれまでに区間データの独立集合問題に対する省領域アルゴリズムを開発した.本年度はそのアルゴリズムをより汎用的な手法へと拡張し,その拡張手法は,最小支配集合を含む,区間上の様々な貪欲アルゴリズムへ適用できることを示した.また,区間だけでなく,Circular arc と呼ばれる区間を拡張した幾何データに対する省領域アルゴリズムの開発のための良い特徴付けなどを得ることができた. また,平面的な幾何構造へのアルゴリズムとして,ZDD と呼ばれるデータ構造を用いて最長片道切符を高速に求めるアルゴリズムの開発や,文字型のグラフ構造を列挙するアルゴリズムを開発した.これらのアルゴリズムは高速に動作するだけでなく,列挙された構造の数に比べ,遥かに小さい計算領域で計算することができる. これらの成果は国際会議 Computational Intelligence in Information Systems (CIIS 2016) および International Conference and Workshops on Algorithms and Computation (WALCOM 2017) に採択された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
区間データ上の独立集合問題に対する省領域アルゴリズムを拡張することに成功し,多くの区間上の問題に対する効率的なアルゴリズムに成功した.また,区間を拡張されたデータに対する省領域アルゴリズム開発のため,Circular arc データに対する有用な特徴などを得られるなど,拡張された幾何構造に対する省領域アルゴリズムの開発に向けた準備ができている.また,平面構造に対するアルゴリズムは実験的に効率性を示している.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き,区間データを拡張した幾何データに対する省領域アルゴリズムを開発していく.特に,Circular arc データだけでなく,置換ダイアグラムに対する省領域アルゴリズムの開発を検討していく.また,今年度のアルゴリズムの開発により,ソーティングに対する良い知見を得ることができた.ソーティングは計算機科学における非常に重要な問題であり,これらに対する研究を推し進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の異動に伴い,支出計画が若干変わったため.
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次年度使用額の使用計画 |
研究打合せや情報収集を行うための旅費として使用する.
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