本研究の最終年度も引き続き、研究計画に基づいて、(1)大規模時空間データの階層構造を利用したホットスポット検出法の確立、(2)ZDD法に基づくホットスポット検出法の提案、(3)アプリケーションの開発、について重点的に研究を行った。 (1)について、大規模空間データの有する階層構造(エシェロンデンドログラム)は非常に大きく複雑な構造となる。本研究では、そのようなデンドログラムをカットオフによって単純化し、その単純化された構造に基づいてホットスポット検出を試みる新たな手法を確立し、数値実験によりその有効性を示した。加えて、空間・時間の両方を同時に捉えたデンドログラムを考案し、それにより空間的な視点だけではなく、ホットスポットの時系列な変化についても表現可能なことを示した。それら成果を国際学会(COMPSTAT2018他)、および国内学会で発表した。 (2)について、組み合わせ集合を高速に数え上げ列挙するZDD技法を、ホットスポットとなりうる全ての隣接ブロック領域の探索に応用することにより、真に最大尤度を有するホットスポットを現実的な計算コストで検出しうることを見い出した。その新規性・有効性をまとめたものを雑誌論文(JJSD)に発表した。加えて、これら成果の一部を国内の研究集会で発表した。 (3)について、エシェロンスキャン法のためのアプリケーションを世界で初めて開発した。これは、シェープファイル(地理データ)と実際の観測データを取り込むことで、任意の地域に対してホットスポットを検出する一連の解析を行うことができる。開発にはR-shinyを用いているため、データの読み込みから各種のパラメータ設定、解析結果の地図上での表現等をインタラクティブに操作可能となっている。現在は公開に向けて最終調整の段階にある。それら成果を国際学会(ECDA2018)で発表した。
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