研究実績の概要 |
平成30年度の研究実績でも述べたが、既に結果が出ている研究に関しては論文にまとめ海外の雑誌に投稿している。その結果とは2次元GARCH(1,1)モデルの定常系列で各次元の裾の厚さが異なる条件に関するものである。ここでのGARCHモデルとは、計量ファイナンス分野で良く用いられる時系列モデルの1種である。論文は国際雑誌に投稿しており、要改訂との返事をもらっていた。レフェリーの指示に従い改訂し投稿したころ掲載が決定された。なお、この研究は確率的漸化式(Stochastic Recurrence Equations、以下SREと略す)の専門家(ポーランド)との共同研究である。 一般のn次元の確率的漸化式(SRE)に関しては、漸化式の係数に三角行列を仮定した上で各次元で裾の厚さが異なる条件を導出した。それは2次元の結果の拡張である。この結果は年度当初には論文として完成間近であった。時間がかかったものの論文は完成し、arXiv(プレプリント・シリーズ)に掲載した上で国際雑誌に投稿した。最初の雑誌では却下されたので(レフェリーとの相性が悪いようである)現在再投稿へ向けて論文を改訂している。近日中に改訂を終えて投稿予定である。 さらに前年度の研究実績概要で述べたが、我々のSREの結果はBEKK-GARCHモデル(多次元のGARCHモデル)にも応用可能であることが分かっていた。実際に計算を進めたところすんなり応用できたので、論文としてまとめた。この結果はこの春の国際学会で報告予定である。また、論文は関連する国際雑誌に投稿中である。この成果は当初の研究計画では想定していなかったが、後に重要な応用研究であると分かり、追加的に研究して得られたものである。こちらも国際共同研究(デンマーク)である。 以上のように当初の研究計画と比べ若干の変更があったものの、順調に研究成果をあげることができた。
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