研究課題
PCMへの書き込み速度を低速にすることでセルの寿命(書き込み回数の上限)が長くなることが知られている(これを低速書き込みと呼ぶ).一方,書き込み速度が遅いことから,アプリケーション性能が低下するというデメリットもある.これまで,MLC(Multi-Level Cell)に対する低速書き込みの性能や寿命は報告されていないことから,MLC向けの低速書き込み技術を提案し,プロセッサシミュレータと協調して動作するPCMのソフトウェアシミュレータを開発した.このシミュレータではメインメモリとしてPCMを用いることができ,PCMの書き込みおよび読み出しレイテンシをパラメータとして変更可能であり,セルごとに残りの寿命を算出することが可能である.多様な書き込み手法の性能および寿命に対する影響を定量的に捉えることは,スケジューリングによりメモリアクセスの特性に応じてPCMの寿命を制御するために重要である.そこで本年度はさらに性能優先,寿命優先の書き込み手法をソフトウェアシミュレータに実装するなど改良を行った.開発したソフトウェアシミュレータを用いて,提案手法と様々な書き込み手法を対象に,性能および寿命の観点から複数のベンチマークプログラムを用いて定量的に評価した.寿命優先の書き込み手法ではあるベンチマークプログラムにおいては約4倍の寿命延長を達成可能である一方,約27%の性能低下が生じることが明らかになった.また,提案手法では性能低下は約1.14%に抑制しつつ寿命を約1.57倍にすることが可能であることが明らかになった.これまでの研究成果により,メモリアクセスの特徴および PCMに対する複数の書き込みポリシを選択することによりデータセンター規模で要求に応じたジョブのアロケーションが可能になることを示した.
すべて 2018 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: E101.A ページ: 2297~2307
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http://www.cpc.ait.kyushu-u.ac.jp