研究実績の概要 |
電源が遮断されていてもメモリ内にデータを保存できるデバイスとして不揮発性メモリが研究されている. 不揮発性メモリは書き込み耐性が低く書き込みエネルギーが大きいデメリットがある. 不揮発性メモリには読み出しと書き込みに非対称性があり, 読み出しにかかるコストは低い. 読み出し回数を増やして書き込み量を削減することを考える. 不揮発性メモリには1つのセルの状態が複数ビットを表現する多値セルが使用される. 多値セルで書き込み削減する場合, 書き込み量はビット単位ではなくセル単位で削減する必要がある. 複数のセルをまとめて符号語とすることで1つの情報を不揮発性メモリに保存するときにわずかなセルの書き込み量で複数ビットを保存する書き込み削減手法が存在する. 特にセル1つで3ビットの情報を保持する多値メモリに適用可能な書き込み削減を研究した. 1セル3ビットの多値メモリを符号化するために3ビット情報を持つ有限体の拡大体を考え, その要素を1セルに対応付けたシンボルレベルでの誤り訂正符号を構成した. 構成したシンボルレベルでの誤り訂正符号を格子として, 符号空間の商空間を得ることで書き込み削減符号を構成した. 構成した書き込み削減符号はメモリに格納された情報に応じて変更後の状態を決定することで, 不揮発性メモリに情報を保存するときにワーストケースでも1セルの書き込み量で情報を保存できる初期成果を得た.
|