研究実績の概要 |
IoTにWebSocketを適用する場合,中間ネットワーク装置(NAT, Transparent Proxy, Firewallなど)の存在により,トランスポート層以上での接続性がいつの間にか失われているという事象が頻繁に発生する.IoTデバイス側で観測したセンサデータをクラウド側に報告するだけであれば,多少接続性に問題があって遅延が生じてしまっても問題ないが,緊急地震速報のような瞬時性を求められる信号をクラウド側からIoTデバイスに対して送信する際には,常時接続性の確保が求められる.本研究では,IoT WebSocketの接続性管理アルゴリズム(RDPPA: Reconnection with Dynamic Ping-Pong Algorithm)を開発し,中間ネットワーク装置が持つ暗黙的な切断に関する時定数をエンド・ツー・エンドで推定してトランスポート層以上での接続性を保ち続けることを可能にした.RDPPAでは,CPI, CPO, SPI, SPOと呼ばれるメッセージをクライアント・サーバ間で交換し,中間ネットワーク装置の持つ時定数を推定し,その後,接続性を保ち続けるという方式を取る.このアプローチでは,常時トラフィックを発生させることになるが,このアルゴリズムを使うと,その量を微量に抑えることができる.したがって,従量課金制のIoT通信方式においても,十分にペイしうる仕組みとなっている.
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