研究実績の概要 |
本年度は,仮想ネットワーク機器による物理サーバ資源の安定利用を実現する資源割当てモデルの考案に向けた取り組みを行った.具体的には,NFV (Network Functions Virtualization)ノードを想定した物理サーバ環境において,現在広く利用されている様々なパケット処理機構(DPDK, Netmap, NAPI),ネットワーク仮想化I/O(vhost-user, vhost-net, SR-IOV),およびパケット転送処理を基盤とする仮想スイッチ(Open vSwitch, Lagopus, Bridge, L2FWD, xDPd, VALE)の組み合わせパターンをそれぞれ評価し,物理サーバの資源利用の状況と性能への影響について調査を行った.その結果,まずメモリやPCI Expressのバス資源については,ネットワーク性能上のボトルネックとはならず,CPU速度およびCPUコアの利用方法がネットワーク性能に大きな影響を与えることが分かった.また,主要なパケット処理機構であるDPDK (Data Plane Development Kit) およびそれを使用するいくつかの仮想スイッチを解析した結果,特にPipeline方式と呼ばれる方法を用いた場合,通信フローあたりのスループットが制限され,さらに遅延ジッタが増大することが分かった.次に,仮想マシンのネットワーク機能を透過的に拡張するローカルサービスチェインという概念を提案した.既存のNFVの概念と新たに提案したローカルサービスチェインの概念を融合することで,物理サーバの資源利用を抑えつつ,安定したネットワーク性能を実現することが可能になった.
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