今年度は,NFV (Network Functions Virtualization)ネットワークの各ノード(NFVノード)における,ネットワーク仮想化I/O機構の高速化研究を遂行した.具体的には,vhost-userと呼ばれるプロトコルにおけるコピーレス(ゼロコピー)な実装を実現し,性能評価を行った.これまでにも,NetVMやIVSHMEMのようなゼロコピー実装がいくつか存在していたが,そのいずれも実用面での課題(セキュリティ,移植性,汎用性など)を抱えていた.しかし,本研究では,"Rx queue mapping"および"DMA-to-VNF"というアプローチを考案することによってこれらの実用面での課題を解決することに成功した.また,性能評価の結果から,DPDK (Data-Plane Development Kit)を使用する従来の仮想化実装と比較して,最大で20%程度の性能向上が見られた.このように,提案手法は性能面および実用面において優れた特長を有するため,今後は実ネットワークでの応用が期待される.
研究期間全体を通して,ソフトウェアベースのNFVノードにおける性能特性についてかなりの理解を得ることができた.具体的にはNFVノードの核となるDPDKについての詳細や,いくつかの代表的な仮想スイッチについての性能特性の把握,および仮想ネットワークI/O機構の性能改善などの成果が得られており,研究成果は国際的にトップクラスの論文誌やプロシーディングスで発表されている.
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