研究課題/領域番号 |
16K16050
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
宮田 純子 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (90633909)
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研究期間 (年度) |
2017-02-07 – 2019-03-31
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キーワード | PON / 平均遅延時間 / 待ち行列理論 / 厳密解 / ユーザ行動 |
研究実績の概要 |
パーソナルコンピュータに加えてスマートフォンやタブレット端末の爆発的な普及により,増加するトラヒックを効率的に伝送するためには,高速なアクセスネットワークを実現する光アクセスネットワークであるPONでの効率的な運用が必要となる.PONは,OLTが接続された単一のファイバに光スプリッタを接続し,光信号を分岐・結合することで,低コストで光ネットワークを構築する技術である.このPON技術において,OLTと終端装置であるONUとの距離が100 km規模となる大規模光アクセスネットワークを実現させる LR-PONに注目が集まっている [1].LR-PONを用いることで,装置を配置する局舎数や局舎内の装置数を削減しつつ,収容ユーザ数を大幅に増加可能であることから,効率的な運用を求められる次世代光アクセスネットワークの基盤になると考えられている. 局側装置であるOLT (Optical Line Terminal)と終端装置であるONU (Optical Network Unit)との距離が100km規模となることを想定した光アクセス網のLR-PON (Long Reach-Passive Optical Network)の上り通信では,パケット送出不可能となる遊休区間が発生するため平均遅延時間を減らすために効率的な帯域割当方式が必要となる. そこで今年度は,まず基礎検討とし,EPONにおける平均遅延時間を減少させる新たな帯域割当方式を提案し,その厳密解を導出した.さらに,各ONUが一度に送出可能なパケット送出量を制限させた方式も待ち行列理論により厳密解を導出した.このようなパケット送出量に制限があるモデルは,利己的ユーザの行動を制限させる効果があるため,このモデルを,今後LR-PONに拡張していく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EPONにおける平均遅延時間を減少させる新たな帯域割当方式の提案,および,その厳密解を導出できているため.さらに,今後ユーザ行動のモデル化をするうえでポイントとなる,各ONUが一度に送出可能なパケット送出量を制限させた方式も,待ち行列理論により厳密解を導出できているため. これらの結果は,海外論文および国際会議に採録されている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度作成したパケット送出量に制限をもたせた方式をLR-PONに拡張させていく予定である.具体的には,パケット送出量に制限を持つONUと制限のないONUを,それぞれ利己的および利他的ユーザに分け,制御を行うことを考える. このような2種類のユーザに分けてモデル化することは,平均遅延時間の上限解析を行った際使用しており,同様のモデル化で解析できると考えられる.
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は,理論解析を中心に行ったため,当初予定していた学会の投稿が遅くなった,今年度繰り越した分は,国際会議(ONDM2018)での発表のために使用する予定である.
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