研究課題/領域番号 |
16K16057
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
若宮 翔子 奈良先端科学技術大学院大学, 研究推進機構, 博士研究員 (60727220)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ソーシャルメディア / 位置ベースSNS / 時空間データ / 地域情報 / ランドマーク抽出 / 位置推定 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,ソーシャルメディア上で共有・蓄積されている大量のユーザ発信コンテンツの利用可能性を明らかにするために,ユーザ発信コンテンツの欠点であるデータの欠損や曖昧性を分析・解消し,今後の我が国の社会地理的な背景も考慮した地域情報案内などの実用的なシステムに応用することを目的としている. 平成29年度は,昨年度に引き続き,代表的なソーシャルメディアの一つであるTwitterのツイートを対象に,[A] 大規模ソーシャルメディアデータ分析基盤の構築と[B] 時空間コンテキストを考慮した応用システムの開発と評価に取り組んだ.その成果について以下に述べる. [A] 大規模ソーシャルメディアデータ分析基盤の構築 高信頼性でのデータ補完を実現するための技術開発:Twitterのツイートを対象に,位置情報が欠損しているデータに位置情報を補完するために,自然言語処理による位置推定手法を開発した.また,位置推定手法を位置匿名化に応用し,匿名化する前と後の位置推定可能性を可視化するためのWebアプリケーションの構築を行った. [B] 時空間コンテキストを考慮した応用システムの開発と評価 ツイートから抽出可能な時空間コンテキスト情報について整理した.また,ソーシャルメディアデータとGoogle Mapsなどの地図サービスで提供されているパノラマ画像データを解析し,街路の印象を考慮したナビゲーションシステムの開発も行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,代表的なソーシャルメディアであるTwitterにおけるロケーションスタンプ(緯度経度)付きツイートを対象に,ツイート位置を推定する分類器を構築した.これにより,ロケーションスタンプが付与されていないツイートであっても,ツイートの発信位置データを補完することが可能となった.さらに,この手法を発展させ,位置推定の実現可能性を推定する分類器を構築し,位置の匿名化手法を開発し,Webアプリケーションを構築した.また,街路の印象を考慮したナビゲーションシステムの開発も進めた. さらに,本年度は,国際会議ACM IUI 2018 (Annual meeting of the intelligent interfaces community ) の併設国際ワークショップUISTDA 2018 (User Interfaces for Spatial and Temporal Data Analysis) の企画・主催を行い,当該分野の発展にも寄与した.このように,一定の進捗と成果を挙げており,おおむね順調に進展することができた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,これまでに収集したデータを用いて,これまでに開発した技術を統合したシステムを開発し,評価実験を行う予定である.さらに,ユーザが位置ベースのデータを報告することができるスマートフォンアプリケーションを開発し,それを通して得られたデータ,および,Twitterをはじめとする既存のソーシャルメディアから取得可能なユーザ発信コンテンツを用いた,大規模ソーシャルメディアデータ分析基盤を確立する.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)論文掲載費,ならびに,旅費を次年度にまとめたため,次年度使用額が生じることになった.
(使用計画)本年度に使用予定であった内容を平成30年度の使用予定額と合わせて使用する.具体的には,システム開発費,論文掲載費,旅費として使用する.
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