研究課題/領域番号 |
16K16060
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
山中 脩也 明星大学, 情報学部, 准教授 (90548877)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 数値解析 / 精度保証 / 高性能計算 |
研究実績の概要 |
複素変数を入力とする第二種修正ベッセル関数の 4H-Algorithm を構築した.第二種修正ベッセル関数の 4H-Algorithm の構築では,実数変数を入力とするとき同様,多項式の項と指数減衰の項が被積分関数に含まれる半無限区間の精度保証付き数値積分の計算が必要になる.この半無限積分の積分値とその誤差の計算には,これまでに取り組んできた実数を入力とする二重指数関数型積分公式の誤差上限に関する研究成果を利用した.具体的には,多項式の項での増加具合に比べ,指数減衰の項の減少具合が大きいことを利用し,第二種修正ベッセル関数の計算で必要となる多項式の項の増加具合の上限を見積り,その大きさを指数減衰の項で吸収するようにして,二重指数関数型積分公式の誤差上限を求めた.第二種修正ベッセル関数の計算では,ガンマ関数の精度保証された計算結果が必要となるが,昨年度実施した内容を利用し,実装した. その結果,どのような入力に対しても,二重指数関数型積分公式により高精度な結果を与えることができただけでなく,それらの結果は,丸め誤差や打ち切り誤差などのすべての誤差を考慮した上で,数学的に正しい結果を与えることができるようになった.また,それらの高精度計算には無誤差変換が基礎として利用されており,計算に必要なすべての初等関数内でもそれらを利用した高速な計算法が利用されているため,内部で多倍長演算等を利用した時と比べて,高速であるだけでなく,どのような計算機環境でも動作させることができる計算手法を提案することに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究計画分については,申請書に書いた第二種修正ベッセル関数の計算法の構築が完了しているため,滞り無く順調に進展していると言える.来年度以降も研究計画に従って研究を推進したい.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度・平成29年度で構築してきた技術をまとめ,複素変数を入力とする特殊関数の 4H-Algorithm 構築を行なう.この分野について多くの計算技術を持つ,共同研究者らと密に連携を取り,積極的に研究計画を推進していきたいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度から本研究課題に関する実験データを研究補助員と連携して収集することで,これまで以上に多くのデータを取得することができるようになった.平成30年度以降も平成29年度に実施した効率的な研究体制を構築することで,引き続き,高信頼なデータの収集を行なっていく予定である.
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