研究実績の概要 |
今年度は、昨年度末に行った大規模GPUクラスター上でのスケーリングの計測の結果を元に、プロセス間通信の改善とプログラムの実用性、FPGAへの最適化の検討の向上を行った。プロセス間通信の改善については、領域分割に伴うプロセス間の粒子の交換の部分を対象に、全体全通信(All to All)を用いた通信から隣接するプロセスのみを順に通信する方式(MPI_IsendとMPI_Irecvを利用した非同期通信)への変更を行った。昨年度の全体全通信で想定以上に増加した処理時間は大幅に減少している。プログラムの実用性の向上については、計算の初期化の部分の並列化やリファクタリングを行った。これらは長期的な研究継続に不可欠なものである。
FPGAへの最適化の検討に関しては、MPS法をストリーム計算の形式に変更可能かどうかを物理的背景を考慮しながら検討した。その結果、MPS法が非圧縮性流体を対象としている点とバケット法を採用している点をもとに、ストリーム計算化が可能であると結論付けた。また、CPU, GPU, FPGAにまたがる最適化の手法としてMPS法へのテンポラル・ブロッキングの適用も検討し、適用が可能であると結論付けることができた。
なお、今年度は申請者の所属が変更になり、旧所属との共同研究の締結に時間がかかり、研究成果の発表・開示に一部制限があった。また、本研究は引き続き科研費(19K20282/若手)として継続することが決定した。
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