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2016 年度 実施状況報告書

信頼できる機関を仮定しない空間統計データ構築技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K16069
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

村上 隆夫  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報技術研究部門, 研究員 (80587981)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード位置情報プライバシー / 差分プライバシー / 反復ベイズ法 / バイアス補正
研究実績の概要

本研究では,ユーザのプライバシーを考慮した位置情報サービスの普及促進に向けて,信頼できる機関(TTP: Trusted Third Party)を一切仮定しない「空間統計データ構築技術」の研究を推進している.この技術は,「各ユーザの位置サンプルに(ノイズ付与などの)加工を施す段階」と「大量の加工済み位置サンプルから,空間統計データを構築する(加工前の位置情報の分布を推定する)段階」に分けることができる.前者の位置情報加工メカニズムについては,従来よりrandomized responseや二次元ラプラスメカニズムなどが提案されている.後者の分布推定法については,従来より逆行列法や反復ベイズ法などが提案されている.

平成28年度では,後者の分布推定法を開発した.具体的には,最も有望な従来手法である反復ベイズ法に着眼し,これよりも高精度な分布推定法を開発した.反復ベイズ法は,EM(Expectation Maximization)アルゴリズムに基づいて,加工前の位置サンプルの分布を推定する手法であり,サンプル数に依存せずに最尤推定と等価であることが知られている(逆行列法もサンプル数が十分大きいときに最尤推定となるが,小さいときは最尤推定とならず,非常に精度が悪い).しかし,最尤推定はサンプル数が小さいときにバイアスが0ではなく,(逆行列法よりは精度が高いものの)推定精度に改良の余地が残されていた.そこで,反復ベイズ法のバイアス(有限サンプルにおける二次バイアス)の期待値を求め,それを推定値から差し引くことで補正を行う「バイアス補正付き反復ベイズ法」を開発した.実データを用いた評価実験を行い,サンプル数が小さいときに大幅な高精度化が可能であることを明らかにした.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

従来よりも高精度な空間統計データの構築を可能とする分布推定法を開発し,実験的に有効性を明らかにすることができたため.

今後の研究の推進方策

今後は,位置情報加工メカニズムに着眼し,精度の観点で最適なメカニズムを開発することを検討している.

次年度使用額が生じた理由

平成29年度以降,トップ国際会議/ジャーナル論文を何本も投稿することを検討しており,平成29年度以降の学会発表や論文誌掲載料として使用した方が良いと考えたため.

次年度使用額の使用計画

平成29年度以降の学会発表や論文誌掲載料として使用する予定.

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公開日: 2018-01-16  

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