研究課題
本研究では、他者の顔に対する選好の経時的変化について、同じ人物の顔を複数回呈示する単純接触効果のパラダイムとfMRI(functional magnetic resonance imaging)を併用した検討を行った。本研究では、顔を意識できる場合(閾上呈示条件)と顔を意識できない場合(閾下呈示条件)それぞれにおいて顔を複数回呈示し、それぞれの条件において顔に対する選好がどの脳領域において表象されているか検討した。実験刺激呈示の手法として、本研究ではcontinuous flash suppressionと呼ばれる両眼視野闘争のメカニズムを利用した手法を用いた。本研究では、アナグリフによって利き目(dominant eye)に赤色の成分のみ、非利き目(non-dominant eye)には青色の成分のみが入力されるようにし、片目に顔の情報が入力されているにも関わらず、その顔が意識されないようにした。閾上呈示条件では、ノイズ刺激を呈示しないことで顔写真が意識されるようにした。fMRI撮像中にこの課題を実施し、その後fMRI撮像を行わない状態で、参加者は選好判断課題を行った。閾上呈示条件で顔が意識できている場合と、閾下呈示条件で顔が意識できていない場合の脳活動を比較した結果、両側の紡錘状回顔領域に有意な賦活が認められたことから、閾上呈示条件においては顔が意識されている一方、・閾下呈示条件では顔が意識されていないことが確認された。閾上単純接触効果に関わる脳領域を検討した結果、眼窩前頭皮質、腹側線条体及び後方領域の関与が示唆された。閾下単純接触効果に関わる脳領域を検討した結果、背内側前頭前野及び前部帯状回の関与が示唆された。これらの結果は、閾下単純接触効果と閾上単純接触効果に関わる認知・神経基盤が異なっている可能性を示唆している。
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Neuroscience Research
巻: in press ページ: in press
doi.org/10.1016/j.neures.2017.11.003
doi.org/10.1016/j.neures.2017.09.003
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻: 114 ページ: 7969-7974
doi.org/10.1073/pnas.1704831114
https://researchmap.jp/ayahito-ito/