研究課題
本研究は近年高次認知機能との関連が注目されている小脳とそれを中心とした脳内ネットワークから認知制御機能の理解を目指すものである。当該年度は,小脳と認知制御の関連を示すため、(1) 昨年度に引き続き、脳機能イメージング技法を用いた認知制御機能に関連する過去研究の結果のメタ解析と大規模オープンソースデータを用いた脳構造と心理機能との関連づけ、(2) 認知的制御課題遂行時の脳機能イメージング研究、を実施する計画であった。(1) 過去研究のメタ解析研究では,過去20年間に実施された認知制御機能に関連する脳イメージング研究結果を収集し,これを Activation Likelihood Estimation 法と呼ばれる解析手法によりメタ解析を行った。また心理機能との関連づけでは、米国 Human Connectome Project が一般に公開している脳画像データベースから500件超の脳構造画像と対応する心理機能スコアを得て,これを Voxel-based Morphometry の手法を用いて解析し,脳の構造と心理機能の対応関係を明らかにすることを目指している。また小脳・脳幹に特化した脳画像解析ツールボックスを用いることでより精度の高い機能局在の導出を試みた。その結果、小脳外側部と認知的制御機能との関連が示され、今後の研究計画の妥当性を裏付ける重要なデータが得られた。また当該研究以外の領域にも示唆を与えるものであったため、それぞれ協力研究者の研究成果と合わせて学術書および学術誌論文の一部として公刊された。(2) 脳機能イメージング研究では、fMRIを用いた脳機能画像及びrsfMRIによる脳機能結合の検討が計画された。まず行動実験により設定した課題の遂行によりどの程度の認知的制御を必要とするかが確認された。その結果、当初予定していた設定では課題による負荷が低いことが明らかとなり、その後も行動実験を継続し、課題の負荷を調整している段階にある。
3: やや遅れている
当初予定していた脳機能イメージング研究は、課題設定に不備があったため、課題の調整のため実施できていない。現在、最終調整段階にあり、すぐに実施に向けて計画を進行させる予定である。
過去研究のメタ解析研究および脳構造と心理機能との関連づけの成果は追加分析により新たな知見を得られる可能性もあり、さらなる検討を行う。またfMRIを用いた脳機能画像及びrsfMRIによる脳機能結合の検討を実施し、その成果を学術誌論文にまとめ、公表する計画である。
実施を予定していた脳機能イメージング研究が延期となったため。次年度に実施する予定。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 図書 (1件)
Scientific Reports
巻: 8 ページ: 6296
10.1038/s41598-018-24331-0