研究課題
本研究は物体認識アルゴリズムの効率化とそれに基づく高精度かつ高速な物体認識システムの実現を目的とし、(1)ハードウェア指向の特徴記述子に関する研究、(2)メモリ競合を伴わない識別器の並列処理とその実装方式に関する研究、(3)ハードウェア志向の提案アルゴリズムに基づく高精度かつ高速な物体認識システムの実現と検証の3つの段階にわけて行われた。上記(1)、(2)に該当する最終年度前年度までの研究では、数学的な工夫によって計算精度や認識精度の劣化を伴わないハードウェア志向のアルゴリズムを開発し、その成果を4つの国際会議で公表し、1件の特許を出願している。最終年度の研究では、これまでの提案アルゴリズムを一つの物体認識システムとして統合し、提案システムが物体認識の精度、物体認識の処理速度、回路の面積効率において既存のハードウェアシステムを大きく凌駕することを明らかにした。最終年度の研究はシステムを構成する要素技術の2つをそれぞれ2つの学術論文誌に発表し、国際会議にて提案システムの公表とデモンストレーションを行うなど、その成果を認められている。本研究成果が持つ意義は、物体認識システムの構築におけるアルゴリズムとハードウェアの融合が既存の実装方式では実現できなかった突破口を作る鍵となり得ることを実証した点である。今後の研究活動においては、本研究で得られた知見を活かし、深層学習のためのハードウェア志向アルゴリズムに関する研究が先行して行い、高い電力効率を有する深層学習のアクセラレータの実装方式について研究を行う予定である。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: E101.A ページ: 1766~1775
10.1587/transfun.E101.A.1766
巻: E101.A ページ: 1298~1307
10.1587/transfun.E101.A.1298