畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の極めて強力な画像認識性能は,現在の人工知能ブームを巻き起こす直接的なきっかけであり,今なお中心的な原動力であり続けている.本研究では,CNNの従来研究では長らく考慮されてこなかった大脳視覚野の認知処理過程における「注意(Attention)」の機構に焦点を当て,CNNの内部反応と大脳視覚皮質との類似性や相違性を定量的に分析し,新たな知見を得た.これらは,強力な認識性能を持つが静的な振る舞いしかできないCNNに対し,ヒトの視覚認知機構における「注意」に基づく動的なフィードバック機構等を組み込んで柔軟な認知能力を実現しようとする際に,重要な知見となる.
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