研究課題/領域番号 |
16K16097
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大槻 麻衣 筑波大学, システム情報系, 助教 (30609095)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | CSCW / 遠隔作業指示 / 予期 / Augmented reality |
研究実績の概要 |
機器に関するサービス,保守,安全性の向上などを目的とし,現地の「作業者」の状況を把握しながら遠隔地の熟練「指示者」が作業者へ指示を出す遠隔作業指示の必要性が高まっている.本研究では,コミュニケーションにおける予期を可能にする,身振りや手ぶりといった非言語表現を提示可能なシステムを構築し,コミュニケーションにおける対話者の行為の理解・予期に関するメカニズムを解明することを目的としている. 平成28年度は,遠隔作業指示システムの開発を行った.開発したシステムでは,指示者は,Kinectで取得した作業空間の情報を見ながら作業者に指示を行う.作業指示のための,指示者の身振り・手振り・顔の向きなどの非言語表現はKinectおよびヘッドマウントディスプレイ (HMD) のヘッドトラッカを用いて取得する.HMDについて,当初はOculus Riftによる実装を検討していたが,より広い範囲での作業者・指示者のヘッドトラッキングが可能なHtc viveを用いて開発を行った.指示者の非言語表現は仮想のアバタにマッピングされ,作業者はこれを見ながら作業を行う. 非言語表現による予期が有効となるのは,作業領域が広く,視界に全体像が収まらない場合であると考えられる.実験用に,想定する作業領域として幅180cmの机を横に2台並べ,その上のオブジェクトを移動させるタスクを設定した.開発したシステムを用いて,指示者の非言語表現が作業効率や精度,印象にどのような影響を及ぼすか,予備実験を行い,実験設計を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画ではシステムの構築を行い,システムを用いて作業する場合と,作業者と指示者が同じ場所で実際に作業をする場合において ,相手に提示する非言語表現(相手の身振り・手振り,相互の位置,顔・体の向き,視線など)を様々に変更し ,作業時間,作業の正確さなどを評価する予定であった. しかし,産休を挟んだことから,システムの構築および予備実験にとどまっている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,現在の予備実験を終え,当初予定していた評価実験を実施し,「予期」に有効な非言語表現の抽出・組み合わせの検討を行う. 具体的には,構築したシステムを用いて作業する場合と,作業者と指示者が同じ場所で実際に作業をする場合において ,相手に提示する非言語表現を様々に変更し ,作業時間,作業の正確さ,発話数,ジェスチャ回数などの定量的な指標による評価と,エスノグラフィによる質的な調査(システムの機能と得られた定量的な結果との因果関係の詳細な検討)を行い,各動作・組み合わせの効果を探る.
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次年度使用額が生じた理由 |
産休取得のため,当初計画していた,「予期」に有効な非言語表現の抽出・組み合わせを検討するための実験が未実施であるため未使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
このため,次年度に当該実験を行うこととし,未使用額はその経費に充てることとしたい.
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