研究実績の概要 |
最終年度として,本年度は,引き続き,対人コミュニケーションにおいて,内気な人が感じる気おくれや不安,緊張(心理ストレス)の緩和を狙うコミュニケーション支援ロボットのインタラクション評価を行なうとともに,対人コミュニケーションの数理モデルについて検討を行なった.より具体的には次の項目を調査/実験などを行なった.(1)Shyness理論(Buss, 1986),KiSS-18,多次元共感性尺度,対人的自己効力感などの社会スキル尺度の検討や「自己肯定感」「居場所感」などの関連文献を調査し,本研究に対する理論的枠組みの整理を行なった.(2)ロボットとインタラクションする多人数の人間行動を分析し,人の身振りや顔の表情から,心理的ストレスの緩和効果やコミュニケーション意欲の向上に効果的なコミュニケーション支援ロボットの振る舞いを実験から評価した.また(3)2とは対照的に,複数人コミュニケーションにおいて,内気な人の発話躊躇を引き出すような負の効果についても,ロボットとのインタラクション分析から定性的に明らかにした.(4)2, 3の評価実験の結果を定量的に示すために,複数人の発話行動を観察/分析するための情報センシング環境の整備を行なった.(5)4のセンシングデータを分析して,特定の行動が誘発する頻度を測定,統計処理の結果から,2,3の知見が人のコミュニケーションの数理モデル化に有用であることを確認した.(6)シャイな参加者を含む,複数人のコミュニケーション現象について,その様相や相互作用を数理モデルとして定式化できる可能性を確認した.(7)以上の成果について,関連学会での成果発表を行なった.
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