1. 研究目的 3D表示技術の1つである計算機合成ホログラム(CGH)では,ホログラフィと同様に自然な立体視が可能であり,かつ,仮想物体の3D表示化や高い臨場感を 持つという特徴があるため,将来の3D表示技術として注目されている.本研究課題では,CGHの計算・伝送・表示を実現するCGH無線伝送システムの開発を目指し,伝送エラーがCGHおよびその再生像に与える影響を解明し,伝送エラーによる影響のないCGH伝送を実現することを目的としている. 2. 本年度の実施項目 本年度では,昨年度までに開発したCGH計算・伝送装置,CGH表示装置を用いて,CGHの計算から表示までのシステムを開発した.開発した装置を用いて,実験により以下の検討を行った.「理想的な環境下におけるCGH無線伝送」を評価するため,無線LANシステムにて伝送速度が最大となるようシステムを配置し特性を評価した.「実環境下におけるCGH無線伝送」を評価するため,他の無線LANシステムからの電波干渉が存在し伝送速度が変動する一般的な環境にシステムを配置し特性を評価した.これらの環境下での実験結果より,通信速度と伝送エラーの特性評価,伝送エラーとCGH自身の画質劣化,伝送エラーと劣化のあるCGHから再生された再生像の画質劣化について評価を行った.この評価を元に,CGH無線伝送用のアルゴリズムを開発し,無線伝送が実現できる解像度・フレームレートなどの条件を検討した.以上のように,CGHの計算から表示までのシステム開発および実環境下でのCGH無線伝送を行い,CGHの無線伝送システムの実現性を明らかにした.
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