研究課題/領域番号 |
16K16106
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ロボットセラピー / ソーシャルロボット / 自閉症セラピー / Engagement |
研究実績の概要 |
自閉症セラピーの際に自閉症児からセラピーに集中してもらい活発にタスクを行う(以下、engagementと呼ぶ)ようにセラピーを維持することはとても重要な側面である。そこでソーシャルロボットがセラピーのengagementレベルを高める役割を行うことが本研究の目的である。28年度はロボットを用いた自閉症セラピーを行い、そのデータのビデオ分析を行った。 自閉症児がプロトタイプの感情表現を認識して、模倣するように実験設計を行った。参加者は自閉症と診断された3歳から13歳の子供をアジア(日本、17名)、東ヨーロッパ(セルビア、19名)から募集した。日本とセルビアのセラピストおよびHRI専門家たちがビデオ分析を行った。Engagementはセラピストとタスクによってhigh>mid>low>indifference>noncomplianceとしてビデオ分析できた。また、Valence/ArousalはVery positiveからvery negativeまで5段階として分析した。 その結果、2つの文化の間に高いengagementレベルは持続時間において有意差があることが見られた。高いレベルのengagement区間においてセルビアの自閉症児は短いengagement時間を示したが、それは彼らの自閉症レベルが高く、日本人の自閉症児よりも目標タスク到達することが速いということでる。また、調査された日本人の参加者の30%未満がengagementレベル0~3を有し、残りの70%はengagementレベルの少なくとも1つのインスタンスを有していた。セルビアの70%以上の参加者は、非常に低いengagementを示した。 これらの結果は、自閉症治療のためのロボットソリューションを最適化する際に考慮する必要があることを示す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画は28年度は実際に教育・医療施設で使用しているセラピーの内容に基づいたシナリオ作成およびデータ収集し、29年度は収集したデータを用いてロボットセラピーの定量的な評価生理信号とビデオ分析による自閉症児の行動分析を行う予定であった。現在までおおむね順調に進展している。ただ、28年度はデータ収集のみの予定だったが、生理信号や顔表情分析の前の段階で、Valence/Arousal/Engagementレベルの分析を行うことを追加し、実験プロトコルの妥当性を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、28年度の実験で使用したリストバンドとウェブカメラからデータ収集し、自閉症児の行動分析を行う。実験のそれぞれのセッションは、上記の手順がすべてわかるように録画される。実験は子供が別のところに移動することを希望しない限り椅子に着席してもらい、NAOは子供とセラピストの前に置かれた小さな机に配置する。NAOの背後にマイク付きの高解像度のウェブカメラを配置し、子供とセラピストが両方映るようにする。顔追跡のカメラがNAOの中に装備されている。録画されたデータから顔の特徴点を用いて画像分析を行う。この分析については現在申請者と共同研究を行っているインペリアルカリッジロンドンのIBUG研究グループからその技術や参考資料について協力をしてもらう。
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次年度使用額が生じた理由 |
IROS2016韓国(6 日間)に参加し、研究発表を行うことを予定していたが、代わりに国内で開催されたMHS2016に参加したため、旅費に差額が出た。
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次年度使用額の使用計画 |
ICSR2017の開催場所がまだ決定されていないため、研究発表の予定をRO-MAN2017リスボン(4日)とHRI2018シカゴ(4日)に変更した。28年度に発生した差額はその旅費で使用する予定である。
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