研究課題/領域番号 |
16K16108
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
日野 英逸 筑波大学, システム情報系, 准教授 (10580079)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 機械学習 / ノンパラメトリック / スパース |
研究実績の概要 |
平成28年度には,(1)疎性モデリングの柔軟性・適用範囲の拡大の枠組みの構築とアルゴリズム開発,(2)実問題の解析を通した評価と改善の2つに取り組んだ. (1)の課題については,変数の大部分が零であるという単純な疎性のみではなく,「変数の時間変化が疎である状況」や「グループ構造を持った疎性」をモデルに取り込み,疎性モデリングの適用範囲の拡大の枠組みを構築した. 具体的には,変数の時間変化が疎であるという形の疎性を,消費者の商品の選好傾向の時間遷移に対して課すことで,ブランドのシェアの観測系列データから,ブランド間での消費者の移り変わりを推定する手法を開発し,査読付きの学術論文を発表した.また,開発手法の和文による解説を,書籍の1節として執筆した. 「グループ構造を持った疎性」については,位置情報サービスを利用するユーザ群の移動パターンをクラスタリングしてから,各クラスタをグループ構造とみなしてグループ単位で疎性を仮定したテンソル分解を行うことで,各ユーザの存在位置を高精度に推定する位置情報攻撃手法を開発し,位置情報サービス利用における問題点を指摘した.本研究も,査読付き学術論文として発表している. また,ノンパラメトリック手法による柔軟な統計モデリングの基礎的な手法として,情報幾何学に基づく確率分布の混合モデリングの新たな方法を提案し,査読付き国際会議での発表及び査読付き学術論文として発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度には,(1)疎性モデリングの柔軟性・適用範囲の拡大の枠組みの構築とアルゴリズム開発,(2)実問題の解析を通した評価と改善の2つに取り組むことを計画していた.(1)の課題については,変数の大部分が零であるという単純な疎性のみではなく,「変数の時間変化が疎である状況」や「グループ構造を持った疎性」をモデルに取り込み,疎性モデリングの適用範囲の拡大の枠組みを構築した.また,ノンパラメトリック手法による柔軟な統計モデリングの基礎的な手法として,情報幾何学に基づく確率分布の混合モデリングの新たな方法を提案した. 拡大した疎性モデリング手法を種々の実問題へ応用した.具体的には位置情報プライバシーにおける位置推定攻撃手法,商品のシェア情報から消費者の遷移を推定するマーケティング応用手法など,疎性モデリングに基づく新たな分析手法を異なる複数の分野で展開することが出来ており,当初の研究計画を鑑みて概ね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
申請時の計画に従い,平成29年度はノンパラメトリックモデリングによる潜在構造推定の効率化の枠組み構築とアルゴリズム開発,及び、 実データ解析による評価と既開発手法の改善を中心として研究を進める.具体的には,ノンパラメトリックなアプローチを用いてデータの有する潜在的な次元を推定する手法の開発,データの有するエントロピーを推定する手法の開発に取り組む.実データの解析としては,スロー地震の分布分析を始めとした問題に取り組み,適用分野における新規な知見の発見を目指すとともに,既開発手法の適用範囲の検証及び限界・改善点の同定を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定の物品が当初見積もりより廉価になったため.
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次年度使用額の使用計画 |
本年度助成額と合わせて,予定通り執行する.
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