研究課題/領域番号 |
16K16112
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
笹原 和俊 名古屋大学, 情報科学研究科, 助教 (60415172)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 複雑ネットワーク / 行動文法 |
研究実績の概要 |
マルチレイヤー・ネットワーク(Multilayer Networks)やテンポラル・ネットワーク(Temporal Networks)などの複雑ネットワークの生物行動への応用に関する文献や先行研究を調査し、行動文法をモデル化しプログラムとして実装するために必要な数理的枠組みとアルゴリズムについて基礎的な研究を行なった。また、海外の研究機関の2名の共同研究者のもとに短期滞在し、California Thrasher(オオムジツムギモドキ)、Black-headed Grosbeak(チャバライカル)、Bengalese finch(ジュウシマツ)などの鳥類のさえずりのデータを入手して、音声系列の基本構造をネットワーク分析した。今後は、動物行動のデータだけでなく、電子化された記録に残るビッグデータ等の人間行動も分析対象とすることで、より広いクラスの行動文法を研究の対象とする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複雑ネットワークの生物行動への応用に関する文献や先行研究を調査し、行動文法をモデル化しプログラムとして実装するために必要な基礎を研究した。特に、マルチレイヤー・ネットワーク(Multilayer Networks)やテンポラル・ネットワーク(Temporal Networks)の研究は本研究と密接に関わるため、理論やアルゴリズムだけでなく、実データ分析に応用する際のメリットとデメリットを検討した。また、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のCharles Taylor教授およびニューヨーク大学ハンター校のOfer Tchernichovski教授の研究室に短期滞在し、野外や飼育下の鳥類のさえずりのデータ(California Thrasher、Black-headed Grosbeak、ジュウシマツなど)を入手して、Sound Analysis ProおよびKaleidoscopeを用いて音響分析を行い、さえずりの音声系列の基本構造を調査した。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の基礎研究の成果に基づき、マルチレイヤー・ネットワーク(Multilayer Networks)やテンポラル・ネットワーク(Temporal Networks)の手法をされに洗練させ、実データに応用できるようにプログラムとして実装する。さらに、具体的な行動文法の事例として今年度はさえずりの音声系列を用いたが、ソーシャルメディアにおけるコミュニケーションも行動文法の一種であるため、今後、動物行動のデータだけでなく、電子化された記録に残る人間行動も分析対象とする。これによって、より広いクラスの行動文法を対象とすることが可能になる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
学会発表よりもデータ分析の作業を優先したため、次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
今年度は学会発表を予定しているため、予定通りに予算を使用する。
|