本研究の背景は,言語の起源や言語進化に関わる構成論的研究である.言語あるいは人間のコミュニケーションシステム(記号と意味の対応関係)は,過去の人類の営みによって構成され,将来にわたって変化していくものである.特にインターネットを媒介とした近年のコミュニケーションにおいては,フェイクニュースなどを原因とした情報の信頼性の低下が危ぶまれている.本研究は,実験室内においてコミュニケーションシステムが生成・変化する状況を生じさせ,継続と崩壊に至る利得構造の条件を検討した.ここで得られた実験の結果は,急速に変化する現代社会のコミュニケーションの行く末を見据える重要な材料となると考えている.
|