研究実績の概要 |
1年目は本研究課題の軸となる両腕運動と片腕運動の運動学習を統一的に説明する数理モデルの構築に関する研究成果をNeural networks誌にオープンアクセス誌として発表した (Takiyama & Sakai, 2017, Neural networks)。本研究課題前に、申請者は片腕運動から両腕運動への運動学習効果の転移を説明する数理モデルを発表していた(Takiyama & Sakai, 2016, Scientific Reports)。この自身の先行研究モデルを発展させ、従来別々に提案されてきた片腕運動の運動学習モデル(Thoroughman & Shadmehr, 2000, Nature)と両腕運動の運動学習モデル(Yokoi et al., 2011, JNS)を統一的に説明できる数理モデルを提案した。また、行動実験の結果のみならず、片腕運動、両腕運動におけるニューロン活動も同時に説明できることを示した。更に、提案した数理モデルは右半球における運動野、左半球における運動野間の結合において、興奮性と抑制性の結合がバランスしているときに脳内実装できることも示した。 本研究成果と並行して、Node perturbationと呼ばれる強化学習アルゴリズムに基づく運動学習の数理モデルをJournal of Physical Society of Japan誌に、右腕の運動計画情報と左腕の運動計画情報を最適に統合する生物学的に妥当な神経回路網モデルに関する研究成果をJournal of Physics A誌に発表した。
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