研究課題
我々の社会における諸問題は、一定の規則に従って時間の経過とともに状態が変化することから力学系と呼ばれ、様々な数理モデルが提案されている。力学系の有効な解析手法に、分岐解析がある。分岐解析は、システムのパラメータを変化させた時のシステムの性質の急激な変化を調べることをいう。分岐解析を行うことでシステムを詳細に分析することができ、これにより、諸問題の解決、最適化、制御、予測に繋げることができる。一方で、従来の分岐解析はニュートン法がベースとなっており、目的関数の設定に微分情報を必要とする。また、初期値の設定を適切に行わないと正しい解が求まらない。そこで本研究では、粒子群最適化法(PSO)による、手軽かつ高精度な分岐解析手法の提案を目的とする。PSOはメタヒューリスティックな最適化手法であり、最もシンプルな群知能の1つである。ニュートン法と大きく異なり、微分による勾配情報を必要とせず、また、厳密な初期値設定も不必要である。まず我々は2つのPSOを用いる、入れ子構造型PSO(NLPSO)を提案した。NLPSOを太陽電池回路モデルへ適用し、最大電力点を求めることに成功した。次に、離散力学系へ適用し、周期倍分岐点の検出に成功した。さらに、NLPSOによるサドルノード分岐点導出の問題点を洗い出した。また、目的関数に簡単な拡張を加えることで、サドルノード分岐点の導出に成功した。これらを応用し、連続力学系における分岐点導出にも成功している。NLPSOは従来法とは異なり、厳密な初期値設定を必要としない。また、連続力学系においては、従来法と比較し、解析のための式変形が格段に容易となった。NLPSOは高い利便性を持つが、解析精度も高く、また計算時間も短い。NLPSOによる分岐解析を利用することで、今まで困難であった複雑な力学系の解析が行えることが期待できる。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件)
Chaos, Solitons & Fractals
巻: 119 ページ: 126-134
https://doi.org/10.1016/j.chaos.2018.12.016
Nonlinear Theory and Its Applications, IEICE
巻: - ページ: 印刷中
-
電気学会論文誌C
巻: 138 ページ: 1646-1647
https://doi.org/10.1541/ieejeiss.138.1646