本年度はまず、非凸正則化を用いた圧縮センシングについて研究を行った。ベイズ推定やL1正則化を用いた方法と比較した結果、これら手法より高い信号復元性能を示すことが明らかとなった。その信号復元を実際に成功させるアルゴリズムを、確率伝搬法により構成した。さらに、非凸正則化に含まれるパラメータを減少させながら推定することで、推定性能が大きく改善されることも示した。一方で、要求される計算量はL1などの凸関数を正則化とした場合と変わらない。これらの結果は、実問題における非凸正則化の有用性を示すものである。
また、昨年度の研究で行った、線形回帰問題における非凸正則化による変数選択について、モデル選択の問題を研究した。座標降下法と交差検証法を用いて、正則化パラメータをアニーリングすることにより推定値を効率的に得る方法を提案し、その手法によるモデル選択を行った。この手法は既存手法の計算量を大きく削減するものである。また、非凸正則化の特徴である、推定量のバイアスの少なさにより、L1正則化でモデル選択を行った場合よりも疎な表現を選択することができた。この表現は、L0正則化による方法と一致しており、計算量と性能の面で大きな優位性を持つことを示した。
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