研究課題/領域番号 |
16K16138
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
藤原 寛太郎 東京理科大学, 工学部情報工学科, 助教 (00557704)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 非定常確率過程 / 統計量 |
研究実績の概要 |
本年度は,「活動電位形状に対する非線形ダイナミクス解析手法の構築」という研究計画を遂行するための中間段階として,これまで開発してきた神経スパイク時系列に対する統計解析手法の精細な調査を行った. まず,前年度に引き続き,神経スパイク時系列に代表される非定常点過程データの様々な統計量の時間変動の統計解析手法について精査した.これまでの統計解析手法で短所とされてきたような長時間相関を有する時系列データや,極めて定常な時系列データに対しても我々の開発した統計解析手法が有効であることを示された. これまでの解析では神経系のスパイク時系列のみを対象データとして扱ってきたが,より非定常な時系列データに対して我々の開発した統計解析手法の適用が有用であると考えられていることから,神経スパイク時系列以外の非定常点過程データへの適用可能性を調査した.具体的な応用例として,膵臓におけるベータ細胞における電気生理学実験から得られた細胞膜電位のデータに対する統計解析手法の適用可能性を調査した.その結果,我々の開発した統計解析手法が適用可能であることがわかった. このほか,当初の研究計画と直接的に結びつくものではないものの,上記のデータ解析から着想を得た膵臓におけるベータ細胞の膜電位ダイナミクスの数理モデル構築や,神経伝達物質が影響を及ぼす脳の低周波振動の非線形ダイナミクスの解析及び数理モデリングなどの数理研究を遂行した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は,様々な点過程統計量の時間変動に関する統計解析に注力した.その結果,神経系以外の点過程データにおける新たな示唆を得た. しかしその一方,活動電位形状に対する統計解析手法については開発途上であり,やや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,活動電位形状に対する統計解析手法の開発を行う.また,そこで開発した手法を実データに適用し,データから生理学的示唆を得る予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
申請段階で見込んでいたもののワークステーションの代わりに,より安価なワークステーション購入により計算時間の短縮を見込んでいる.
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