研究実績の概要 |
lncRNA-RNA相互作用予測手法の開発については、ヒトの様々な組織でのRNA発現量をRNA-seqデータより取得し、各lncRNAと相互作用ターゲットRNAの発現の組織特異性を考慮することで、相互作用予測を高精度に行う手法を開発し、論文として発表した(Biology Direct, 12:15, 2017)。
また、RNAの発現データを解析する中で、lncRNA配列中に含まれるトランスポゾン様の配列がlncRNA発現の組織特異性と関連があることを発見し論文として発表した(Genes, 9, 23, 2018)。
lncRNA-タンパク質相互作用予測手法の開発については、公共データベースに登録されているCLIP-seq(PAR-CLIP、HITS-CLIP、eCLIP)のデータを解析することで大規模な相互作用の既知データの取得を完了した。特筆すべき点として、PAR-CLIPのデータ解析を実施する中で、従来の解析手法ではPAR-CLIPのRNA配列中に含まれる塩基置換(実験的に意図的に導入されている)が多数存在することで相互作用データが限られた数しか取得できないという問題に着目し、この塩基置換を考慮したPAR-CLIPのデータ解析手法を新たに開発することで、PAR-CLIPのデータからでも効率的にRNA-タンパク質相互作用のデータを得ることが可能となった。本解析手法はPAR-CLIPのみならず、塩基置換を伴うRNA-seqであるSLAM-seq(Herzog, V.A. et al. Nat. Methods 14, 1198-1204, 2017)、TimeLapse-seq(Schofield, J.A. et al. Nat. Methods 15, 221-225, 2018)TUC-seq(Riml, C. et al. Angew. Chem. Int. Edn. Engl. 56, 13479-13483, 2017.)といった最新の実験手法の解析にも有効な手法であると考えられるため、本研究課題の範囲を超えた広い分野への波及効果が見込まれるため、現在論文を執筆している。
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