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2016 年度 実施状況報告書

階層ベイズモデルによるメタゲノムデータからの腸内ファージの感染細菌予測法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K16144
研究機関東京大学

研究代表者

木村 恭将  東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (30632913)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード細菌・ファージ感染関係 / メタゲノム / ウイルス分類 / プロファージ / CRISPR
研究実績の概要

本年度においては、次の成果を得ることができた。
(1)腸内に存在する未知のウイルスを解析する基盤の構築:メタゲノムシークエンスリードをアセンブリし、コンティグ配列を基本単位として解析を行う解析パイプラインを構築した。コンティグ上の遺伝子領域の予測を行い、相同遺伝子の検索によるアノテーションによってウイルス分類を行う。実データを解析して得られたコンティグ中には環状につながるものがあり、いくつかのウイルスゲノムは完全長で解析できていることが示唆された。
(2)プロファージ配列による感染関係の予測:ファージの中でも自身のゲノムを細菌ゲノム中にプロファージ配列として埋め込み潜伏する溶原化ファージについて、プロファージ配列を細菌ゲノムから検出し、感染関係を予測する方法を開発した。同一サンプルから細菌叢およびウイルス叢両方のメタゲノムデータを取得し、解析することでプロファージ配列をベースにした感染関係の構築を行った。
(3)CRISPR配列による感染関係の予測:細菌の獲得免疫機構であるCRISPR/Casシステムにより細菌のCRISPR領域に挿入されたファージゲノムの断片を検出し、感染関係を予測する方法を開発した。これまでの報告では、CRISPR領域が繰り返し配列をとることから、CRISPR領域のゲノムアセンブリが難しく、十分な結果が得られていなかったが、我々の解析パイプラインによって構築されたコンティグからは、非常に多くの感染関係を得ることができ、感染関係を知るための有用な情報になった。
(4)菌数・ウイルス数による感染関係の予測:宿主となる細菌の有無により変動するファージの量から感染関係を検出する方法を開発した。非常に限られたサンプルに特異的に出現する細菌とウイルスのペアが既知の感染関係を反映していることを見出し、そのようなペアを抽出する方法を構築した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していた、ゲノムデータの整備、3種類の異なる感染関係予測法を開発することが出来ている。実データを用いたデータ解析も行うことが出来、生物学的知見を得ることも出来ている。

今後の研究の推進方策

構築した解析パイプラインと予測手法を用いて、同一サンプルから取得した細菌叢とウイルス叢のメタゲノムデータを解析した結果をまとめ、論文として発表する。その後、抗生剤投与によって、細菌叢とウイルス叢を人為的に変動させたメタゲノムデータの解析を行い、変動情報を元にした感染関係予測解析技術の開発を行う。

次年度使用額が生じた理由

スーパーコンピュータの使用にかかる費用に対して助成金からの使用を抑えた。論文執筆に集中するため、情報収集のため予定していた国際会議に参加ができなかった。研究の進捗について影響はない。

次年度使用額の使用計画

スーパーコンピュータの利用費および、膨大になっているデータの保存ディスクの費用として使用する。また論文作成時に必要となる、追加検証データの取得のための次世代シークエンスの費用として使用する。研究成果をまとめた論文の投稿費用として使用する。

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公開日: 2019-12-27  

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