研究課題/領域番号 |
16K16149
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
杉田 憲司 大分大学, 医学部, 客員研究員 (00381046)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 電磁ホーン型ESRイメージング装置 / マウス脳虚血モデル / フリーラジカル / 高次脳機能障害 |
研究実績の概要 |
生体におけるフリーラジカルの分布、発生量の画像化は、酸化ストレスが関与する疾患の病態、状態評価、抗酸化能評価において有用と考えられる。本研究では、高次脳機能障害にターゲットを定め、フリーラジカルの関与に対し、電磁ホーン型ESR イメージング装置による非侵襲的測定を確立させ、病態、進行度、治療に対する反応などに応用すべく基礎研究を行う。 マウス脳虚血モデル(中大脳動脈一過性閉塞虚血―再灌流モデル、両側内頚動脈閉塞モデルマウス)を作成。Q-band 電磁ホーン型ESR 装置に冷却装置付き3次元MRI コイルを組み込み、スピンラベル剤(MC-PROXYL)を用いマウス脳虚血モデルの生体イメージングを虚血時間の長短、再灌流から評価までの時間による変化により計測を試みたが、信号取得、画像化が困難であった。今後、スピンラベル剤の変更、装置の改良によるイメージングを試みる。また、アルツハイマー病モデルマウス(streptozotocin投与による)を作成。これらモデルについて各種テストによる高次脳機能評価、酸化ストレスマーカー(NO,MDA.GSH,SOD)のin vitro測定、ESRイメージング装置によるin vitro、in vivo のフリーラジカルイメージングを行い、治療的介入による変化についても検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
in vivoにおけるフリーラジカルイメージングについては、当研究室でL-bandループギャップ共振器を用い、マウス悪性脳腫瘍モデルにスピンラベル剤を投与し、ESR計測に成功している。同様の手法を用いマウス脳虚血モデルの生体ESR計測を試みたが、これも信号取得、画像化が困難であった。原因として、フリーラジカルの発生量が少ないこと、装置の感度不足などが考えられた。 そのため、新規にTMモード式共振器をESR装置に使用し、感度の向上を企図した。この装置では、人工物によるフリーラジカルのイメージングが可能となっているため、それを用いマウスの虚血モデルでのフリーラジカルイメージングを試みたが、信号取得、画像化は困難な状況であった。
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今後の研究の推進方策 |
現状での電磁ホーン型ESR装置によるフリーラジカルイメージングでは、条件を変化させても画像化が困難であり、感度の不足が考えられた。既存の電磁ホーン型ESR装置の改良による感度向上を図っており、これにより、イメージングの向上が期待出来る。また、TMモード式共振器を用いたESR装置でのイメージングについても、スピンラベル剤の変更、同剤の投与方法の変更、計測機器の感度向上、によりイメージングの改善を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)物品費として酸化ストレスマーカー測定キット、スピンプローブ剤等を購入したが、予定された計画の進行から遅れが生じ、必要物品購入を次年度に見送ったため。 (使用計画)残額については、当初の計画どおり、物品費として再度スピンプローブ剤等の購入に充てる予定としている。
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