これまでに構築した3種類のパターン認識手法(自己組織化マップ、サポートベクトルマシン、ベイズ正則型ニューラルネットワーク)による、基本的検査項目(血清ナトリウム[Na]、血清クロール[Cl]、血清カリウム[K]、γ-GTP、乳酸脱水素酵素[LDH]、赤血球[RBC]、ヘモグロビン[Hg]、ヘマトクリット[HCT]、HDLコレステロール[HDL-C]、好中球数[Neut#]、好酸球数[Eosi#]、リンパ球数[Lymp#]、単球数[Mono#])の組み合わせからクッシング症候群および副腎不全状態を予測するモデルを統合した簡易的なスクリーニングインターフェイスについて、システムへの組み込みを容易にするため種々の改良を加えた。従来のインターフェイスでは入力データ1例ごとに前処理、演算、結果の出力を行っていたうえ、多数例をまとめてファイルから読み込んで演算を行う場合には不要であるGUI部分に関する処理も挟んでいたために、大規模なスクリーニングで用いるには時間が掛かりすぎる問題点があったが、これらを全て改善して効率的に処理するアルゴリズムを実装したことによって、スクリーニングにかかる計算時間を最大で80%程度削減することができた。さらにこのインターフェイスでは、予測モデルに用いる項目数(次元数)増加にも対応したので、以後時系列予測モデルの実装等によって入力変数が増えたとしても柔軟に対応可能なものとなった。これらの改良により、計算速度の改善のみならず搭載する予測モデル自体の拡張性も確保することでデータの追加、およびそれに伴う予測モデルの更新にも対応可能となったことから、より大規模なシステムへの実装と現実的なものになったと考えられる。
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