本研究は、わずか数個のハロゲン原子導入が引き起こすタンパク質の構造安定化の分子メカニズムを、タンパク質の分子内相互作用の観点で、計算化学的に明らかとした。ハロゲン原子が導入され、タンパク質全体の構造安定性が増大したグルタチオン-S-転移酵素(GST)に対して、フラグメント分子軌道(FMO)計算を行い、GSTを構成するすべてのアミノ酸残基ペアの相互作用エネルギーを算出した。実験的にはアプローチが難しいタンパク質の分子内相互作用を、計算化学手法により解析し、ハロゲン原子導入によるタンパク質の構造安定化メカニズムを明らかとすることができた。
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