研究課題/領域番号 |
16K16155
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
吉田 光男 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60734978)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | オルトメトリクス / ソーシャルメディア / 情報拡散 / プライバシー |
研究実績の概要 |
ソーシャルメディアによる言及をもとにした,新たな学術文献評価指標を開発することを目指し,本年度は主に,(1)ソーシャルメディア利用ユーザの分析,および,(2)情報拡散に着目した言及量予測モデルの開発,を行った。 (1)については,言及量を予測するにあたり,言及するユーザの属性等を理解するために実施した。本年度の研究では,居住地推定を題材とし,場所に関する情報を投稿せずとも,一見場所とは関係のない天気に関する情報でも居住地の推定が可能であることが分かり,ユーザのプライバシーが意図せず漏れている可能性があることが示唆された。また,このようなプライバシーがプロフィールなどに記載されるのかどうかを日英の言語別に調べたところ,日本語ではユーザの現在の状況が,英語ではユーザの誕生日などが記載される傾向にあることが明らかになった。このほかにも,引っ越しなどの環境の変化におけるソーシャルグラフの収束時期を調査したところ,事象が発生してから半年から1年後にグラフが収束することが分かった。 (2)については,ソーシャルグラフ上で情報拡散が生じるという仮説を立て,カスケードモデルによる情報拡散モデルを構築し,言及量の予測を試みた。しかしながら,収束した言及量の予測については,ソーシャルグラフにおけるカスケードモデルよりも,初期言及量の方がモデルのあてはまりがよかった。そのため,本年度の研究では,ソーシャルグラフ上で情報拡散が生じるという仮説を積極的に支持する結果が得られていない。ただし,言及される論文ごとに,言及者間の平均距離が大きく異なることが分かり,分野を絞れば情報拡散モデルのあてはまりがよくなる可能性もある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は情報拡散に着目した言及量予測モデルの構築を目指したものの,仮説を積極的に支持する結果が得られなかった。ただし,今後の方策に繋がる結果が得られたため,一定の進捗があった。
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今後の研究の推進方策 |
ソーシャルグラフ上で情報拡散が生じると仮定したことに対し,言及対象の分野によって,その拡散具合が異なるのではないかと考え,言及対象の分野ごとに分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
期待通りの研究結果が得られず,予定していた国内外の研究集会への参加経費(参加費・旅費)を執行しきれなかったため。 研究成果を発表するため,国内外の研究集会への参加経費(参加費・旅費)および論文投稿料としての執行を予定している。
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