研究課題/領域番号 |
16K16156
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 岳洋 京都大学, 情報学研究科, 助教 (70717636)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 情報検索 / 探索的検索 / Struggling Search / ユーザインタフェース / QAコーパス |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は,検索ユーザの背後にある目的を考慮した検索技術を実現することである.具体的には,今年度は大きく下記2つの課題に取り組んだ. (1)網羅的な情報収集タスクにおけるクエリ推薦技術とユーザ分析 網羅的に情報を探索する必要がある検索タスク下の検索行動を支援するクエリ推薦インタフェースを提案した.具体的には,あるクエリで得られる文書集合が,まだユーザが閲覧していないが情報要求に適合する情報を含んでいる度合いをMissing Informationとして定義し,観点の多様性とすでに閲覧した適合情報によるディスカウントを考慮し定式化した.さらに,検索ユーザに対してMissing Informationを伝達するため,Missing Informationを可視化するクエリ推薦インタフェースを実現した.被験者実験の結果,提案インタフェースが既存のクエリ推薦インタフェースよりも,効率的な網羅的情報収集を可能とすることを確認した. (2)タスクを考慮したクエリ推薦技術 情報要求が同一であるがユーザが複数回クエリを修正しなければ適合情報が発見できないようなStruggling Searchと呼ばれる検索,およびユーザが実世界の問題解決を目的としたタスク検索に焦点をあて,これらのタスク下の検索ユーザを支援するためのクエリ推薦技術について取り組んだ.Struggling Searchを支援するクエリ推薦技術としては,Struggling Search特有のクエリ修正パターンをクエリログから学習・マイニングすることで,既存のクエリ推薦よりも高精度なクエリ推薦を可能とする技術を実現した.また,タスク検索を支援するクエリ推薦としては,ユーザのタスクを達成するためのサブタスクや代替タスクをコミュニティQ&Aコーパスからマイニングする手法を実現し,評価実験によりその有用性を検証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画書で提示した課題のうち28年度計画であった課題だけでなく,29年度以降の課題であったクエリ推薦方式についても一定の成果を得ることができ,順調に進展しているといえる.また,成果発表についても難関国際会議を始め, 国内外での発表を積極的に行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られている研究成果をより精緻なものとするため,研究課題としても挙げている,テストコレクションの作成をより大規模なものとする.また,各クエリ推薦手法の技術をより洗練し,成果をまとめ引き続き国内外の学会への論文投稿を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては,当初計画していたRAの雇用を取りやめたのが主な目的である.これは,研究の進捗が順調であったため,RAの雇用を必要ないと判断したためである.
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は,平成28年度に行った研究をより進めるため,テストコレクションの拡充とユーザビヘイビアデータの収集に取り組む.そのために,被験者実験およびクラウドソーシングに使用する.また,引き続き学会発表および論文投稿を進めるため,これらにも使用する.
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